プラトニック２ (ページ2)

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山田から俺へと感じられるのは、嫌いというより、『無関心』。

メンバーだから仕方なく話もするし、指示があればカメラの前でジャレついたりもする。

あくまで仕事だから。

山田から俺への親愛の情を感じたことはなかったし、なんならそれ以外の俺へ向けられた感情の動きすら無かったように思う。
どのような感情のベクトルも、俺自身に向けられることはなかった。

だから、俺は山田との仕事が正直苦手だったし、仕事場でも関わらないようにした。

メンバーから必要とされていないかも、という事実は俺を打ちのめしたし、その原因であった山田の事を、素直に認める気持ちにはなれなかった。

だから俺は、山田涼介が嫌いだった。

大学を卒業して数年経って。

有り難いことにひとりで舞台やドラマの現場に呼ばれるようになり。

事務所の先輩のひと言のお陰で、唐突にスポットが当たるようになった。

俺は俺のままなのに、急に周りが騒がしくなり、緩かったスケジュールは気がつけばタイトなものに変わっていた。

ずっとグループに貢献したいと思ってはいたものの、あまりに急激な変化に気持ちも体もついていかない。
目まぐるしい毎日に、食事も睡眠もままならなくなった。

そんな日々を送る中。
その日はグループ仕事だった。

午前中の仕事が少しだけ巻いた為、一人だけ早目に楽屋に入り、仕事とストレスで疲れ切った体をソファに投げ出す。
他のメンバーにソファを占有して申し訳無いと思ったが、拠り所が無いと自分の体を支え切れないくらいに疲弊していた。

神経が異常に昂ぶっていて、疲れているのにまともに眠れない日々。
目を閉じても眠気がやって来ないことはわかっていたけれど、倒れて迷惑をかけないためにも、休息をとったという自己暗示と気休めが欲しかった。

壁に掛かっている時計の秒針の音だけが響く楽屋。
単調なカチカチという音にも急かされている気持ちになる。

メンタルコントロールは得意な方だと思っていたけれど、その自負すら脅かされそうな程、体力的にも精神的にも疲れ切っていた。