検索窓
今日:24 hit、昨日:88 hit、合計:27,929 hit

22 ページ22

光にしては歯切れが悪い。
相槌で先を促した。

『いのちゃんがお前との事、ホントはどう思ってるか気になって、雄也に訊いてもらったんだけどさ』

何でそんな事、と言いかけて、光の優しさだと思い留まった。
先週、光にあれだけ情けなく愚痴ったんだ。
心配されて当然だろう。


“雄也に”というのが、妥当な人選だと思いながらも少しだけ妬けた。
もう、俺にそんな資格は無いというのに。


「……気ぃ使わせて悪いな」

『んでさ、実は雄也といのちゃん二人で飲みに行って、いのちゃん潰れちゃったらしいんだわ』

「えーと、光、話が読めないんだけど」

『雄也が今、居酒屋で困ってて。いのちゃんの家も分かんないし。俺今日、仕事で地方来てて、行ってやれないのよ』

「……俺に行けってか」

『お前ならいのちゃんの家分かるだろ。完全に潰れちゃってて、雄也一人じゃ連れて帰る事も出来ないだろうし。迎えに行ってやってよ』

「……光も結構な鬼畜だな。振られた相手の介抱しろってか」

『元恋人だろうが何だろうが、大事なメンバーに変わりないっしょ。雄也も困ってるし』

背に腹は代えられないとはこの事か。

迎えに行くのはやぶさかではない。
別れていようが、あいつが俺の事をもう好きではなかろうが、あいつと仕事以外で会えるという事が、俺の中では僥倖にも近い。
この際、ちくりとした胸の痛みはおいておこう。

だが事の顛末を知った伊野尾が、おそらく嫌な顔をするだろうなと容易に想像できる。


下心と伊野尾への罪悪感を胸に納めつつ、光に了承の旨を告げ、伝えられた店まで車を走らせた。


深夜だという事もあり、ものの20分ほどで店に着いた。

店員さんに頭を下げながら奥に進むと、なるほど半個室のようになっているテーブルに、雄也とテーブルに突っ伏している伊野尾が見えた。

「雄也、お待たせ」

伊野尾の顔を神妙な面持ちで見つめていた雄也に声を掛けると、俺に気がついて安堵の表情を浮かべた。

「薮くん、ごめんね」

「いや。こっちこそ、なんか悪かったな」

元はといえば、光が俺の為に焼いたお節介が原因だ。

「思ったよりペース早くて。気がついた時にはダウンしてた」

「そうか」

「楽しくはしゃいで飲む伊野尾くんしか知らないから。こんな風に酔い潰れる所、初めて見たわ」

「元々そんなに酒強くないからな、こいつ」

23→←21



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (165 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
270人がお気に入り
設定タグ:Hey!Say!JUMP , 伊野尾慧 , 薮宏太   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

たろう(プロフ) - みぽりさん» ありがとうございます。勿体なくてとても嬉しいコメント、励みになります!好き勝手書いてますが、大切な時間を割いて下さって、趣味を共有して頂き嬉しい限りです。他のものもマイペースですが更新しますので、お目通し下されば嬉しいです。 (5月6日 6時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
みぽり - 初めまして。伊野尾さんが大好きなみぽりと申します。たろうさんの書かれるお話、いつも楽しみにしています!たろうさんのお話、本当にどれも素敵で大好きです。やぶいのとやまいのが特に心に刺さります!これからも更新楽しみにしています🥰 (5月6日 1時) (レス) @page37 id: cd6bad8b88 (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - yukaさん» コメントありがとうございます!キュンキュンして頂けたなら、すごく嬉しいです。ラブラブなやぶいの、良いですね。出来る事なら書いてみたい。普段あまりラブラブな話書けないもので😅でもいつかチャレンジしたいと思います。 (5月5日 6時) (レス) @page37 id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
yuka(プロフ) - はじめまして。やぶいの担です😊切きゅん最高ですね!かわいいいのちゃん大好きなのでほんとキュンキュンしちゃいました😆できることならラブラブなやぶいの続編お待ちしております。 (5月5日 4時) (レス) id: 72a3a4d579 (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - ぽむさん» コメントありがとうございます。すごく励みになります。自分の書いたものを客観的に見る事は難しくて、これでいいのかといつも思いながら書いているので、ぽむさんのコメント本当に嬉しかったです。 (4月1日 21時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:たろう | 作成日時:2024年4月1日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。