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あの人は無事に大学を卒業した。
今までほとんどグループの仕事ばかりだったのに、ぽつん、ぽつんとあの人個人の仕事が増えていった。
俺は相変わらずずっと忙しくて、あの人と関わることもあまり無かった。
それでもグループの仕事で楽屋にみんなが集まると、自然とあの人を目で追うようになった。
また体調を崩して倒れられたら困る。
頑固で、変な所で我慢強いあの人。
メンバーが知らないところで無理をしないとも限らない。
グループのマイナスにならないように、俺が目を光らせていないと。
「最近、良くいのちゃんの事見てるよね」
楽屋のソファでゲームをしていたら、いつの間にか隣に座った知念が話しかけてきた。
「別に、そんな事ないよ」
「いのちゃんの事、嫌い？」
いつかした事のある会話だなと思いながら、ゲーム画面をポーズして知念を見る。
どこか楽しむような顔をしている。
「嫌いじゃないよ。前みたいに急に体調崩されて迷惑かけられたら困るなって、思ってるだけ」
「ふうん。心配なんだ」
「俺達の仕事の事がだよ」
「うん、まあ、どっちでもいいけど」
知念が大ちゃんと喋っているあの人に視線を向ける。
俺もつられてあの人を見る。
何かの雑誌を指差しながら、肩を揺らしてケラケラと笑うあの人。
綺麗な細い指先で口元を押さえて、何がそんなに楽しいんだか、大ちゃんの肩に寄りかかるように体を預けて大笑いしている。
柔らかそうな黒茶の髪がふわふわと揺れて、大きな垂れ目は零れそうに大きな半円を描いていた。
あんな楽しそうな顔。
俺の前では一度だって見せた事がない。
「今度、僕のラジオの回にいのちゃんに出てもらうんだ」
「そうなんだ」
「僕、いのちゃんの事大好きなんだよね。ホントは独り占めしたいしたい所だけど、リスナーのみんなにもいのちゃんの魅力、お裾分けしてあげようと思って」
「俺にはわかんないけど」
「わざと分からない振り、してるだけじゃない？まあ、どっちでもいいけど」
そう言って俺の手元のゲームの続きを促した。
「どっちでもいいって、さっきから何だよ」
「どっちにしたって一緒だって事だよ」
分かんないんだけど。
知念の言う事は、時々分からない。
俺は渋々ゲームのポーズボタンを解除した。
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たろう(プロフ) - 雪音さん» なんて嬉しいコメント！ありがとうございます。なかなか思ったように書けないなりにも、読んで頂いて感想まで頂いてホントに嬉しいです。気まぐれ更新ですが、またお目通し頂ければ嬉しいです。 (1月25日 22時) (
レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 最後の2人が仲直りするシーンで感動して泣きそうになりました。たろうさんの書くお話いつも楽しみにしてます！ (1月25日 20時) (レス) id: 287eadd06c (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» ありがとうございます。これからもサツキさんに読んでいただけるように、頑張って更新したいと思います。 (1月24日 23時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
サツキ(プロフ) - 返信ありがとうございます！ヤバいです！たろうさんに読んでいただけていたとは…。なんか、ものすごく気恥ずかしいです💦たろうさんの紡ぐ綺麗な文が大好きです。お忙しい中とは思いますが、いろいろお話を楽しみにしています。 (1月24日 21時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» コメントありがとうございます！なんて嬉しくて勿体無いお言葉を……（涙）。私もサツキさんの小説を楽しみに読んでいた読者なので、サツキさんからコメント頂けて嬉しいです。ホントにタダの自己満足の文章を読んで頂けて、嬉しい限りです。 (1月24日 21時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たろう | 作成日時：2023年12月15日 18時
