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「……そんなんなら、もっと自己管理しろっつうの」
「涼介の言う事は正論だけど、優しくないね」
「相手によるだろ」
「いのちゃんの事、嫌い？」
「……嫌いじゃないけど、ゆるっとした適当な所がムカつく」
「……別に僕が言う事じゃないけど、いのちゃんの本質はそうじゃないと思うよ。ホントは涼介だって分かってると思うけど」
「知らねえもん、俺。あの人の本当のトコなんて」
あの人は俺にだけ、笑いかけてさえくれないから。
「知らないなら決めつけないで。後で傷付くのは涼介だよ」
知念はいつだって俺にはっきり物を言うけれど、それは全て俺を思っての言葉だと知っている。
「取り敢えずさ、ご飯ちゃんと食べて、いのちゃんが戻って来るのを待とうよ」
グループで一番年下で、一番可愛らしいルックスの知念。
みんなから可愛がられている知念。
でも本当は、誰よりも真実を見極めてて、こう見えて中身は大人なんだ。
俺よりも、多分。
冷えて硬くなったハンバーグの残りを口に放り込んで、俺は水と一緒に無理やり飲み下した。
開場まであと少しというところで、マネージャーに連れられてあの人が戻ってきた。
「迷惑かけて、すみませんでした。すぐ準備するから」
まだ幾分か顔色の悪いまま、頭を下げる。
「お前、大丈夫か？」
薮ちゃんが気遣わしげに声を掛けた。
「うん、ごめんね。大丈夫」
へらりと、いつもの緩い笑顔で応えるあの人。
ふと目が合うと、今日は目を逸らさずにこちらへ向かってきた。
「山田も。ごめんね、迷惑かけて。キツイ演目なのに、バタバタさせてたら悪い」
「いや、俺は別に」
「そうだよね、関係ないか。でもルーティン狂ってたら申し訳無かったなって」
そうしてペコリと頭を下げて、衣装を着替えに行った。
俺は何も言えずにあの人の後ろ姿を見送る。
緩くて適当、なんかじゃない。
あの人は、俺のような嫌いな人間に対しても、頭を下げられる大人の人だ。
そういえば。
普段は笑いかけたり話し掛けたりしないけれど、ありがとうやごめんなさいは、必ず目を合わせて言ってくる人だった。
本当の人となりなんて知らないけれど、俺が知ってるあの人は、そういう律儀で正しい人だ。
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たろう(プロフ) - 雪音さん» なんて嬉しいコメント！ありがとうございます。なかなか思ったように書けないなりにも、読んで頂いて感想まで頂いてホントに嬉しいです。気まぐれ更新ですが、またお目通し頂ければ嬉しいです。 (1月25日 22時) (
レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 最後の2人が仲直りするシーンで感動して泣きそうになりました。たろうさんの書くお話いつも楽しみにしてます！ (1月25日 20時) (レス) id: 287eadd06c (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» ありがとうございます。これからもサツキさんに読んでいただけるように、頑張って更新したいと思います。 (1月24日 23時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
サツキ(プロフ) - 返信ありがとうございます！ヤバいです！たろうさんに読んでいただけていたとは…。なんか、ものすごく気恥ずかしいです💦たろうさんの紡ぐ綺麗な文が大好きです。お忙しい中とは思いますが、いろいろお話を楽しみにしています。 (1月24日 21時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» コメントありがとうございます！なんて嬉しくて勿体無いお言葉を……（涙）。私もサツキさんの小説を楽しみに読んでいた読者なので、サツキさんからコメント頂けて嬉しいです。ホントにタダの自己満足の文章を読んで頂けて、嬉しい限りです。 (1月24日 21時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たろう | 作成日時：2023年12月15日 18時
