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「伊野尾ちゃん。俺、今すげぇ幸せなの。伊野尾ちゃんとぎゅってしてんの、すげぇ気持ちいい」
「……うん」
「気持ち良くって、落ち着く。伊野尾ちゃんは？」
「……うん。何か、落ち着くね。やまだが俺の腕の中にいてくれて、嬉しい」
「俺も、嬉しい」
「夢、見てるみたいだ」
「リアリストの伊野尾ちゃんらしくないね」
「そうだね」
でも、夢みたいで嬉しいの。
もう一度そう言って、伊野尾ちゃんも俺を抱く腕に力を込める。
伊野尾ちゃんの腕から伝わる力強さに、俺の涙腺も少しだけ緩んだ。
「伊野尾ちゃん。俺さ、自慢じゃないけど、今まで与えられた仕事、どんなに無理難題でも出来なかった事ないんだよ」
「知ってる。お前はいつだってすごく頑張って、やり遂げてきたもんな」
「そうなんだよ。だからさ、」
離れ難いと思いながらも、伊野尾ちゃんの顔が見たくて抱き締めていた体をゆっくり離す。
「俺達が望む現実を引き寄せる事は出来ると思うんだよ」
背中に回していた手をもう一度肩に置いて、伊野尾ちゃんの顔をしっかりと覗き込む。
「………どうやって」
いまだ水分の多い瞳を揺らめかせて、伊野尾ちゃんが訝しげな顔をした。
「それは………知らん」
「ぷっ、何だよそれ」
力の抜けたように破顔して、緩い力で俺の胸を小突いた。
そんな表情や仕草の一つにすら可愛いなと見惚れる俺は、相当この人に参っているのだろう。
「俺は不器用だから、自分の信じた道を進むしかない。眼の前の壁を一個ずつ乗り越えて、まっすぐ行くしか知らないけど、それでも伊野尾ちゃんと一緒にいる未来の為なら、へこたれない自信がある」
今までそうやって。
幾つも不可能を可能にしてきた自負がある。
「伊野尾ちゃんだって、俺とやり方は違うけど、自分の力で勝ち取った今があるわけじゃん」
伊野尾ちゃんは何も言わずに俺を見つめている。
真っ直ぐな俺と、クレバーな伊野尾ちゃん。
「リアリストの俺たちが見る夢って、最強だと思わない？」
「………うん」
「いつか、正夢になるよ。絶対」
俺の言葉にまたひとつ、伊野尾ちゃんの瞳から雫が零れた。
でもその顔は笑っていて、その瞳には俺が映っている。
この人の笑顔を手に入れられたら。
ずいぶん前にそう願っていたなと思い出す。
ほらね、伊野尾ちゃん。
結構願いって叶うんだよ。
俺はもう一度、大切な愛しい人を抱き締めた。
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たろう(プロフ) - 雪音さん» なんて嬉しいコメント！ありがとうございます。なかなか思ったように書けないなりにも、読んで頂いて感想まで頂いてホントに嬉しいです。気まぐれ更新ですが、またお目通し頂ければ嬉しいです。 (1月25日 22時) (
レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 最後の2人が仲直りするシーンで感動して泣きそうになりました。たろうさんの書くお話いつも楽しみにしてます！ (1月25日 20時) (レス) id: 287eadd06c (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» ありがとうございます。これからもサツキさんに読んでいただけるように、頑張って更新したいと思います。 (1月24日 23時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
サツキ(プロフ) - 返信ありがとうございます！ヤバいです！たろうさんに読んでいただけていたとは…。なんか、ものすごく気恥ずかしいです💦たろうさんの紡ぐ綺麗な文が大好きです。お忙しい中とは思いますが、いろいろお話を楽しみにしています。 (1月24日 21時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» コメントありがとうございます！なんて嬉しくて勿体無いお言葉を……（涙）。私もサツキさんの小説を楽しみに読んでいた読者なので、サツキさんからコメント頂けて嬉しいです。ホントにタダの自己満足の文章を読んで頂けて、嬉しい限りです。 (1月24日 21時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たろう | 作成日時：2023年12月15日 18時
