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『あらためて話がしたい。いつなら会える？』
滅多に送らない、伊野尾ちゃんへの個人的なメッセージ。
暫くして既読がついて、それから返信がない。
雄也と話して、居ても立っても居られなくて。
次の現場へ向かう送迎車の中で、取り敢えず送った。
とにかく会いたい。
会って、話がしたい。
次の現場に着いても、半ば上の空で返信を待った。
けれど仕事中も伊野尾ちゃんからの返信は無かった。
夜遅くに仕事が終わって、家に帰って。
日付けが変わろうというタイミングで、スマホがメッセージの着信を報せた。
『俺には話すことは無い。仕事の事なら仕事の時に』
半ば想定内の、無機質なメッセージ。
それでも既読が付いてから、今このメッセージが送られてくるまで。
長い時間、伊野尾ちゃんは考えてくれたんだろう。
以前なら『むかつく』で終わらせたかもしれない、そっけない文言。
でも彼の人となりを知った今は。
どれだけ考えてこの文章を選んだのだろう。
このつれない言葉を選ぶ時すら、傷付いていたのかも知れない。
そう思ってしまう。
だって、あの人は。
他人のためなら自分がどう思われようとかまわない、強くて優しい人だから。
脱いでハンガーに掛けていた上着を引っ掴む。
財布と家の鍵とスマホだけを握って、俺は帰ってきたばかりの部屋を飛び出した。
タクシーを呼んで乗り込み、知念に電話する。
『涼介？どうしたの？』
「伊野尾ちゃんの部屋番号教えて。ちい、前に伊野尾ちゃんの家行ってたよね」
送迎の車が一緒になった事もあるから、マンションの場所は知っているけど、どこの部屋かまでは分からない。
『まさか寝込みを襲うつもり？』
「合意があれば」
『馬鹿じゃないの？……僕が言ったって言わないでよ。いのちゃんに嫌われたくないから』
「あの人がちいを嫌いになるわけねえじゃん」
『それは知ってる』
「あ、そ」
『……結果報告。してよね。一番に』
「分かってる」
伊野尾ちゃんのマンションに着いて、エントランスで知念から聞いた部屋番号を呼び出す。
こんな真夜中に初めて自宅に訪れる非常識は十分に自覚している。
でも。
すぐにでも伝えたいんだ。
会って。
砕けても砕けてもへこたれない俺の気持ちを。
暫く待っても、何の応答もない。
俺はまるで借金取りみたいに、何度も伊野尾ちゃんの部屋を呼び出した。
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たろう(プロフ) - 雪音さん» なんて嬉しいコメント！ありがとうございます。なかなか思ったように書けないなりにも、読んで頂いて感想まで頂いてホントに嬉しいです。気まぐれ更新ですが、またお目通し頂ければ嬉しいです。 (1月25日 22時) (
レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 最後の2人が仲直りするシーンで感動して泣きそうになりました。たろうさんの書くお話いつも楽しみにしてます！ (1月25日 20時) (レス) id: 287eadd06c (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» ありがとうございます。これからもサツキさんに読んでいただけるように、頑張って更新したいと思います。 (1月24日 23時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
サツキ(プロフ) - 返信ありがとうございます！ヤバいです！たろうさんに読んでいただけていたとは…。なんか、ものすごく気恥ずかしいです💦たろうさんの紡ぐ綺麗な文が大好きです。お忙しい中とは思いますが、いろいろお話を楽しみにしています。 (1月24日 21時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» コメントありがとうございます！なんて嬉しくて勿体無いお言葉を……（涙）。私もサツキさんの小説を楽しみに読んでいた読者なので、サツキさんからコメント頂けて嬉しいです。ホントにタダの自己満足の文章を読んで頂けて、嬉しい限りです。 (1月24日 21時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たろう | 作成日時：2023年12月15日 18時
