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伊野尾ちゃんは軽い貧血だったらしく、休憩が終わる頃には復調していた。
大ちゃんは素直じゃない伊野尾ちゃんに憤慨しながらも、カメラが回っていないところでは心配そうに側にいた。
それは雄也も同じで、遠くから見守るように伊野尾ちゃんを見ていた。
「いのちゃんの事、心配？」
収録の合間に知念が尋ねる。
「うん。多分俺のせいだから」
すると知念は酷く眉をしかめた。
「いのちゃんに何したの？」
雄也とおんなじ事聞くなぁ。
俺って意外に信用ないのか。
「……抱き締めた」
知念が珍しく虚をつかれたような顔をした。
自分で言って、そりゃそうかと思う。
本人の意思も確認せずにいきなり抱き締めるようなヤツ、信用出来ないか。
「急展開だね。……で？」
少しだけ不機嫌そうに先を促す知念。
「力いっぱい拒否られた」
「……ふうん。で？」
「……自覚した」
「何を？」
「誰にも渡したくない」
「……どの口が言うのさ」
「ん、面目ない」
半ば呆れたようにため息をついた知念。
「で、肚は決まったの？僕の大好きないのちゃんをあれだけ弱らせて」
「うん。諦めない。伊野尾ちゃんを
そう。
もうひとりであの人を泣かせたくない。
あの人に知らないところで守られたくない。
俺が。
あの人を笑顔にしたい。
「………出来んのかよ。ヘタレの涼介に」
「ヘタレだけど、しつこいんだ俺」
「いのちゃんも面倒なヤツに好かれちゃったね」
知念は肩を竦めた。
「それは諦めてもらうしかない」
「それじゃあ、僕も応援する」
俺を見て、にっこり笑う知念。
「いのちゃんの気持ちが一番だけど。もしそういう事になったなら、世間が何と言おうと僕は味方だから」
「ちい…」
「あくまでもいのちゃんの気持ちが最優先だからね。そもそも同意もなく抱き着くなんて、ほぼ犯罪でしょ」
「抱き着いてない。抱き締めたんだよ」
「おんなじだっつうの」
ふはは、と知念は声を上げて笑った。
「当たっても砕けても、それでも挑む涼介はカッコいいよ。僕の好きな涼介だよ」
「ありがとう。ちい。でも次は砕けねえから」
「うん。僕は涼介の隣で幸せそうに笑ってるいのちゃんを見たい」
「任せろ」
俺は、もう迷わない。
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たろう(プロフ) - 雪音さん» なんて嬉しいコメント！ありがとうございます。なかなか思ったように書けないなりにも、読んで頂いて感想まで頂いてホントに嬉しいです。気まぐれ更新ですが、またお目通し頂ければ嬉しいです。 (1月25日 22時) (
レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 最後の2人が仲直りするシーンで感動して泣きそうになりました。たろうさんの書くお話いつも楽しみにしてます！ (1月25日 20時) (レス) id: 287eadd06c (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» ありがとうございます。これからもサツキさんに読んでいただけるように、頑張って更新したいと思います。 (1月24日 23時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
サツキ(プロフ) - 返信ありがとうございます！ヤバいです！たろうさんに読んでいただけていたとは…。なんか、ものすごく気恥ずかしいです💦たろうさんの紡ぐ綺麗な文が大好きです。お忙しい中とは思いますが、いろいろお話を楽しみにしています。 (1月24日 21時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» コメントありがとうございます！なんて嬉しくて勿体無いお言葉を……（涙）。私もサツキさんの小説を楽しみに読んでいた読者なので、サツキさんからコメント頂けて嬉しいです。ホントにタダの自己満足の文章を読んで頂けて、嬉しい限りです。 (1月24日 21時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たろう | 作成日時：2023年12月15日 18時
