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「俺、トイレ行ってくるー」
着替えを済ませた伊野尾ちゃんが、楽屋の奥から出て来て、楽屋を後にする。
「俺も」
俺は慌てて伊野尾ちゃんの後を追った。
楽屋を出てすぐ、伊野尾ちゃんに声を掛ける。
「伊野尾ちゃん」
振り返って、少し目を瞠った伊野尾ちゃんは、相変わらずポーカーフェイスだ。
「どした？山田。お前もトイレ？」
相変わらず、だけど。
１つだけ、前とは違う事がある。
「伊野尾ちゃん、大ちゃんも言ってたけど、やっぱ痩せたんじゃねぇ？」
「何だよ、山田まで。お前ら揃って俺の保護者かよ」
少しだけ不服そうな口調で、でも笑ってみせる伊野尾ちゃんに近付く。
「ちゃんと食べてんの？」
「最近ラーメンにハマって、逆に太りそうだわ」
「嘘、だ」
向かい合ってる伊野尾ちゃんの左手を取る。
前から細かった腕が、ますます白く華奢になった気がする。
「は…なせ、」
慌てて俺の手を振り払った伊野尾ちゃんの頬に、瞬間に赤みが差した。
俺を睨む瞳が潤んでいるのは、勘違いではないはずだ。
俺が触れた左手首辺りを右手で抱え込むようにして、伊野尾ちゃんは俯いた。
「急に触んな。頼むから」
「ごめん」
少しだけ震えているその手は、気のせい？
やっぱり痩せたその腕は。
少しだけ赤い、その耳は。
俺のせい、だよね。
俺は、今。
伊野尾ちゃんを無性に。
抱き締めたい。
この適当の仮面を被った繊細なこの人を。
抱き締めて。
震えている手を取って。
その薄い背中ごと俺の腕の中に閉じ込めたい。
大丈夫だから、と。
ひとりにならないで、と。
自分が彼に対してそんな衝動を抱いた事に驚く。
俺は自分の中のその衝動をどうにかやり過ごそうと、ぐっと両手を握りしめた。
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たろう(プロフ) - 雪音さん» なんて嬉しいコメント！ありがとうございます。なかなか思ったように書けないなりにも、読んで頂いて感想まで頂いてホントに嬉しいです。気まぐれ更新ですが、またお目通し頂ければ嬉しいです。 (1月25日 22時) (
レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 最後の2人が仲直りするシーンで感動して泣きそうになりました。たろうさんの書くお話いつも楽しみにしてます！ (1月25日 20時) (レス) id: 287eadd06c (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» ありがとうございます。これからもサツキさんに読んでいただけるように、頑張って更新したいと思います。 (1月24日 23時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
サツキ(プロフ) - 返信ありがとうございます！ヤバいです！たろうさんに読んでいただけていたとは…。なんか、ものすごく気恥ずかしいです💦たろうさんの紡ぐ綺麗な文が大好きです。お忙しい中とは思いますが、いろいろお話を楽しみにしています。 (1月24日 21時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» コメントありがとうございます！なんて嬉しくて勿体無いお言葉を……（涙）。私もサツキさんの小説を楽しみに読んでいた読者なので、サツキさんからコメント頂けて嬉しいです。ホントにタダの自己満足の文章を読んで頂けて、嬉しい限りです。 (1月24日 21時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たろう | 作成日時：2023年12月15日 18時
