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「俺さ、昔伊野尾ちゃんの事、実は超苦手だった」
少しだけ目を見開いて、それでもそのふくよかな唇には優しげな微笑を浮かべたまま、伊野尾ちゃんは頷いた。
「知ってるよ。苦手って言うより嫌いだったろ？視界にも入れたくない、みたいな」
やっぱり。
この人は知っていたんだ。
それでも弱っていた俺に差し入れをしてくれてたんだ。
感情に囚われずに、正しいと思った事をする。
理性的な人。
その時の感情で押し通す俺とは、正反対。
だから苦手だったし、だから惹かれたんだろう。
「でも今は伊野尾ちゃんの良い所もいっぱい知ってるし、苦手だと思ってた部分は、俺が子供すぎて理解出来てなかっただけだった」
「何だよ、やまだ。気持ち悪いな。お前に褒められるとか」
てっきり説教されると思ったわ。
そう言って伊野尾ちゃんは緊張気味だった相好を崩した。
湯呑みを今度は片手で持ち上げて、こくりと一口飲む。
白い首の控え目な喉仏が、上下に動いた。
不意のサッパリとした仕草も、繊細な体の造りや動きも、魅力的だと思った。
「俺、伊野尾ちゃんが好きだ」
言った。
言えた。
伊野尾ちゃんをじっと見つめる。
伊野尾ちゃんは暫く止まった後、
「ありがと。俺もやまだ好きだよー」
と、へらりと笑った。
「違うよ。俺の好きは、そうじゃない」
きょとんとその大きな瞳を俺に向けている伊野尾ちゃん。
『違う』の意味はね、伊野尾ちゃん。
「俺は伊野尾ちゃんの事、恋愛対象として好きだ」
「え…」
今度はしっかりと、その大きな目を見開いて、暫く動かなくなった。
「好きです。男の俺に言われても、気持ち悪いかも知れない。メンバーにそんな目で見られてると思ったら、居心地悪いかも知れないけど。俺、本気で伊野尾ちゃんの事が好きです」
「……お前、女の子と付き合ってなかった？」
心なしか伊野尾ちゃんの声がいつもより低い気がする。
「うん。だから別に男が好きなわけじゃない。伊野尾ちゃんが好きなんだ」
伊野尾ちゃんだから。
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たろう(プロフ) - 雪音さん» なんて嬉しいコメント！ありがとうございます。なかなか思ったように書けないなりにも、読んで頂いて感想まで頂いてホントに嬉しいです。気まぐれ更新ですが、またお目通し頂ければ嬉しいです。 (1月25日 22時) (
レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 最後の2人が仲直りするシーンで感動して泣きそうになりました。たろうさんの書くお話いつも楽しみにしてます！ (1月25日 20時) (レス) id: 287eadd06c (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» ありがとうございます。これからもサツキさんに読んでいただけるように、頑張って更新したいと思います。 (1月24日 23時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
サツキ(プロフ) - 返信ありがとうございます！ヤバいです！たろうさんに読んでいただけていたとは…。なんか、ものすごく気恥ずかしいです💦たろうさんの紡ぐ綺麗な文が大好きです。お忙しい中とは思いますが、いろいろお話を楽しみにしています。 (1月24日 21時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» コメントありがとうございます！なんて嬉しくて勿体無いお言葉を……（涙）。私もサツキさんの小説を楽しみに読んでいた読者なので、サツキさんからコメント頂けて嬉しいです。ホントにタダの自己満足の文章を読んで頂けて、嬉しい限りです。 (1月24日 21時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たろう | 作成日時：2023年12月15日 18時
