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知念は氷が溶けてだいぶ薄くなった烏龍茶を飲み干した。
真面目な顔で俺を見つめる。
「涼介はさ、告白してどうしようと思ってるの？」
先程の複雑な表情の原因はこれか。
知念はやっぱり、俺の事をよく分かっている。
「どうもしない。というか、俺の中で伝えないとどうしようもないくらい気持ちが盛り上がっちゃってんだよ」
自分の気持ちにちゃんと名前がついて、ストンと落ちた瞬間。
どうしようもなく、伊野尾ちゃんへの想いが押し寄せてきた。
俺の事を思って苺を差入れてくれた時も。
黙って喜んでる俺を見ていた控え目な姿も。
体調を崩しても誰にも言わずに努力する姿も。
誰かにどう思われようとやり遂げる強さも。
華のように笑う、あの笑顔も。
思い出したら。
全部、全部。
愛しくて仕方がないと思うんだ。
頭の中によぎるどの瞬間も。
強くて綺麗で、美しいと思うんだ。
不思議とあの人を思うときに男とか女という概念は当て嵌まらなかった。
ただ、伊野尾 慧という人間が好きだ。
自分の中だけでは、溢れ出してしまうくらいに。
だから。
「伝えて。当たって砕けて来ようと思う」
「……砕ける、前提？」
知念は少しだけ悲しそうな顔をした。
「あの人の事は信頼してるから。俺が告白したって、軽蔑するような人じゃない事は分かる。困らせる事になるけど、もうあの人も俺も、そんな事くらいじゃ揺るがないくらい、このグループが好きで、グループでいる事が当たり前だから」
きっと俺の思いは成就しなくても。
グループのメンバーとして、変わらず信頼してやっていける。
それだけは、確信として思える。
あの人は、俺よりも優しくて強い人だから。
「少しの間はそりゃ、気まずいかも知れないけどさ」
「……いのちゃん、受け止めてくれるかもしれないよ。涼介の気持ち」
「ちい。俺はそんな都合のいい夢は見ない。叶わない夢が確実に存在する事を、嫌っていうほど知ってんだよ」
「涼介が超現実主義者だって事、忘れてた」
子どもの頃からこの業界にいて。
努力や気持ちだけではどうにもならない事がある。
望みを持つ事は必要だけど、一方で叶わない現実がある。
そんな事は俺も知念も良く知っている。
恋愛だってなんだって。
叶わない事の方が多い事も。
良く、知っているんだ。
「当たって砕けたら、慰めてよ。ちい」
知念は肩をすくめて、悪戯っ子のように笑った。
「勿論。涼介のおごりでね」
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たろう(プロフ) - 雪音さん» なんて嬉しいコメント！ありがとうございます。なかなか思ったように書けないなりにも、読んで頂いて感想まで頂いてホントに嬉しいです。気まぐれ更新ですが、またお目通し頂ければ嬉しいです。 (1月25日 22時) (
レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 最後の2人が仲直りするシーンで感動して泣きそうになりました。たろうさんの書くお話いつも楽しみにしてます！ (1月25日 20時) (レス) id: 287eadd06c (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» ありがとうございます。これからもサツキさんに読んでいただけるように、頑張って更新したいと思います。 (1月24日 23時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
サツキ(プロフ) - 返信ありがとうございます！ヤバいです！たろうさんに読んでいただけていたとは…。なんか、ものすごく気恥ずかしいです💦たろうさんの紡ぐ綺麗な文が大好きです。お忙しい中とは思いますが、いろいろお話を楽しみにしています。 (1月24日 21時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» コメントありがとうございます！なんて嬉しくて勿体無いお言葉を……（涙）。私もサツキさんの小説を楽しみに読んでいた読者なので、サツキさんからコメント頂けて嬉しいです。ホントにタダの自己満足の文章を読んで頂けて、嬉しい限りです。 (1月24日 21時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たろう | 作成日時：2023年12月15日 18時
