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そんなある日。
彼の視線に気がついた。
他のメンバーには決して見せない顔。
いつもふわふわして、ニコニコして。
大ちゃんと巫山戯たり、薮ちゃんにベタベタまとわりついたりして。
裕翔や知念にはまるで弟を可愛がるかのように、目尻を下げる彼が。
俺を見る時だけは、無表情だった。
それどころか、どこか怒りのような、悲しみのような表情を浮かべている時すらあった。
もちろん、それはあからさまではなく、ほんの一瞬。
目があった瞬間には、視線を逸らされてしまうか、曖昧な顔で取り繕ったように微笑んでかわされてしまう。
俺は彼に嫌われている。
少なくとも、良い感情を向けられてはいない。
そう気づいたら、無性に腹が立った。
彼の存在を無視しようとした自分自身を棚に上げて、俺は彼が俺だけに向けているであろう負の感情を受け入れることが出来なかった。
何で俺があの人に嫌われなきゃいけない。
グループの為に何もしてないあの人に。
俺が死ぬ気で努力して仕事をしている間、あの人はヘラヘラと笑っていただけじゃないか。
その頃ちょうど、俺にだけソロデビューの話が来ていた。
グループで売れたいと思っていた俺の努力を、全て否定するような事務所のやり方に失望した。
それでも心も体も休める暇もない程に、詰め込まれる仕事、仕事、仕事。
こんなに頑張っても報われない。
頑張ったことが、逆にみんなを苦しめる事にしかならない。
どうして俺は頑張ったの？
何のためにこんなにも苦しい思いをしてるの？
努力は報われるんじゃなかったのか。
気持ちに余裕も無くなって、死にそうな顔をしていた時。
俺を気遣って掬い上げてくれたのは、大ちゃんだった。
グループの仕事の楽屋で、ある時眼の前に差し出された真っ赤な果物。
「食う？山田。すげぇ美味いらしいよ」
大ちゃんはそう言って、透明なパックに綺麗に並んだ大ぶりの苺をひとつ取り出した。
正直なところ、最近は食欲もなかった。
気持ちが落ち込んで、体も疲れ切っていて、何かを食べたいとか、美味しそうとか思う余裕もなかった。
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たろう(プロフ) - 雪音さん» なんて嬉しいコメント！ありがとうございます。なかなか思ったように書けないなりにも、読んで頂いて感想まで頂いてホントに嬉しいです。気まぐれ更新ですが、またお目通し頂ければ嬉しいです。 (1月25日 22時) (
レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 最後の2人が仲直りするシーンで感動して泣きそうになりました。たろうさんの書くお話いつも楽しみにしてます！ (1月25日 20時) (レス) id: 287eadd06c (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» ありがとうございます。これからもサツキさんに読んでいただけるように、頑張って更新したいと思います。 (1月24日 23時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
サツキ(プロフ) - 返信ありがとうございます！ヤバいです！たろうさんに読んでいただけていたとは…。なんか、ものすごく気恥ずかしいです💦たろうさんの紡ぐ綺麗な文が大好きです。お忙しい中とは思いますが、いろいろお話を楽しみにしています。 (1月24日 21時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» コメントありがとうございます！なんて嬉しくて勿体無いお言葉を……（涙）。私もサツキさんの小説を楽しみに読んでいた読者なので、サツキさんからコメント頂けて嬉しいです。ホントにタダの自己満足の文章を読んで頂けて、嬉しい限りです。 (1月24日 21時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たろう | 作成日時：2023年12月15日 18時
