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暫くして、メイクを終えたメンバーが順番にスタジオに入って来る。
俺はスタジオの隅でメンバーが揃うのを待っていた。
彼は大ちゃんと一緒に最後にスタジオ入りして来た。
メイクをしていることもあるけれど、幾分か顔色も良いし、表情も明るい気がする。
良かった。
そう思って見ていると、彼は俺に気付いてずんずんとひとり、こちらに近づいて来た。
俺の眼の前に来て立ち止まる。
少し待ってみたけれど、何故か彼からは何も言ってこないので、仕方なく俺から話しかける。
「伊野尾ちゃん。少しは寝られた？」
「……うん。やまだのお陰で良く寝れた」
「じゃあ、良かったね……」
チーン。
会話終了。
そっちから近づいて来ておいて、なんで何にも話さないの？
不思議に思って彼の顔を覗き込むようにじっと見る。
「やまだ」
彼の形の良いふくよかな唇が俺の名前をかたどって動いた。
「トマト、ありがとう。すげぇ嬉しかった」
そう言って。
まるで華が開いてほころぶように。
彼はふわりと笑った。
どくん。
なんて嬉しそうに、可愛らしく笑うんだろう。
初めて俺に向けられた、彼の笑顔。
どくん。
どくん、どくん。
鼓動の音がやけにうるさく聞こえて、自分の顔に熱が集まるのが分かった。
「べ、別に。疲れてる時はお互い様、だから」
意味のわからない事を口走る俺。
「そうだね。でもありがとう。元気出たから」
そうして俺の耳元にその綺麗な顔を近付けた。
「色々気遣ってくれて、嬉しかった」
耳に吐息が触れるほど近く。
仕事の時の、いつもの高めの声ではなく。
低めの落ち着いた優しい声色で、囁くように告げて。
またそっと離れると、もう一度今度は照れたように微笑んだ。
彼はそのまま先に行った大ちゃんのところへ駆け寄って行った。
彼の吐息が触れた耳から、顔の全てが熱を持っているだろうと自覚する。
スタジオの隅が暗くて良かった。
きっと俺は今。
苺みたいに真っ赤な顔をしているだろうから。
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たろう(プロフ) - 雪音さん» なんて嬉しいコメント！ありがとうございます。なかなか思ったように書けないなりにも、読んで頂いて感想まで頂いてホントに嬉しいです。気まぐれ更新ですが、またお目通し頂ければ嬉しいです。 (1月25日 22時) (
レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 最後の2人が仲直りするシーンで感動して泣きそうになりました。たろうさんの書くお話いつも楽しみにしてます！ (1月25日 20時) (レス) id: 287eadd06c (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» ありがとうございます。これからもサツキさんに読んでいただけるように、頑張って更新したいと思います。 (1月24日 23時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
サツキ(プロフ) - 返信ありがとうございます！ヤバいです！たろうさんに読んでいただけていたとは…。なんか、ものすごく気恥ずかしいです💦たろうさんの紡ぐ綺麗な文が大好きです。お忙しい中とは思いますが、いろいろお話を楽しみにしています。 (1月24日 21時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» コメントありがとうございます！なんて嬉しくて勿体無いお言葉を……（涙）。私もサツキさんの小説を楽しみに読んでいた読者なので、サツキさんからコメント頂けて嬉しいです。ホントにタダの自己満足の文章を読んで頂けて、嬉しい限りです。 (1月24日 21時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たろう | 作成日時：2023年12月15日 18時
