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ふと、自分が彼に触れたままだった事に気づく。
急に気恥ずかしくなり、立ち上がった。
「時間になったらちゃんと声かけるから、もし寝られそうなら少し寝なよ。楽屋暗くする？」
「あ、いや、そのままで良いよ。暗かったらみんなびっくりするし」
やっぱり、他人を優先するのか。
どこまでも、彼の中で自分自身の優先順位は低いんだろう。
じゃあ、誰が。
彼自身を大切にしてやれるというのか。
こんなにも、消えてしまいそうな程疲弊している彼を。
「………ん、分かった」
せめて少しでも静かに休める環境を整えようと、何か掛けるものを探しに、荷物を置いていたデスクに向かう。
その時不意に、乱れた呼吸音と鼻をすする音が聞こえた。
振り返ると、ソファの背もたれに身体ごと向けなおす彼の姿。
その頼りない肩は細かく震えていて、微かに嗚咽が漏れている。
泣いてる？
今までどんな事があっても、へらりと笑ってやり過ごしたり、強がって弱味を見せた事のない彼が。
こちらに向けた背中が、その弱りきった姿を俺に見られまいとするプライドの、最後の砦のように見えた。
バッグの中から大きめのタオルを取り出して、彼の顔が見えないようにそっと掛けた。
「部屋、暗くする代わり」
きっと気付かれたくなかっただろう。
俺は彼から離れて、なるべく遠くの椅子に座った。
静かな部屋の中、彼の嗚咽は暫く止むことはなく、小さく縮めた薄い身体は細かく震えていた。
そんなになるまで。
独りで頑張らなくてもいいのに。
彼が自分を大切に出来ないのなら。
代わりに俺が。
何か。
彼の力になれる事を。
俺が彼の為に、何か出来る事があるのなら。
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たろう(プロフ) - 雪音さん» なんて嬉しいコメント！ありがとうございます。なかなか思ったように書けないなりにも、読んで頂いて感想まで頂いてホントに嬉しいです。気まぐれ更新ですが、またお目通し頂ければ嬉しいです。 (1月25日 22時) (
レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 最後の2人が仲直りするシーンで感動して泣きそうになりました。たろうさんの書くお話いつも楽しみにしてます！ (1月25日 20時) (レス) id: 287eadd06c (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» ありがとうございます。これからもサツキさんに読んでいただけるように、頑張って更新したいと思います。 (1月24日 23時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
サツキ(プロフ) - 返信ありがとうございます！ヤバいです！たろうさんに読んでいただけていたとは…。なんか、ものすごく気恥ずかしいです💦たろうさんの紡ぐ綺麗な文が大好きです。お忙しい中とは思いますが、いろいろお話を楽しみにしています。 (1月24日 21時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
たろう(プロフ) - サツキさん» コメントありがとうございます！なんて嬉しくて勿体無いお言葉を……（涙）。私もサツキさんの小説を楽しみに読んでいた読者なので、サツキさんからコメント頂けて嬉しいです。ホントにタダの自己満足の文章を読んで頂けて、嬉しい限りです。 (1月24日 21時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たろう | 作成日時：2023年12月15日 18時
