救済。それから。tk ページ50
「�睫據¬鸞�してたツーリング。今度のオフでどう？」
冠番組の収録後。
伊野尾くんが笑顔で走り寄ってくる。
ウキウキ、という形容詞がそのまま当てはまりそうな様子。
「いいよ。足はもう平気？」
「全然オッケー。最近全くバイク乗れてないからさぁ」
早く行きたくって。
そういう伊野尾くんには、もう一ヶ月前の憂いは無い。
本当のところは分からないけど、少なくとも調子が戻って来ている事は確かだった。
「それでさ、�睫據２狭圓�たい所あるんだよね」
「いいよ。どこ？」
「日本昔ばなし」
え？どういう事？
聞けば、行方不明中に助けてくれた人の所へお礼に行きたいらしい。
場所は程よい山道で、ツーリング初心者の伊野尾くんにも丁度いい難易度のルートだった。
そして二人揃ってオフの日。
俺たちはツーリングに出かけた。
プライベートで、伊野尾くんとのツーリングは初めてだ。
番組で見せるフザケたがりな姿と違って、伊野尾くんは分からない事や門外漢の事に関しては、非常に殊勝で素直だ。
無茶もせず安全運転で、俺の後ろをついてくる。
その姿が少し可愛らしくて、ミラー越しの真面目な顔に笑ってしまった。
目的地である家は、山奥の集落の外れにぽつんと建っていた。
伊野尾くんはバイクを停めると、家電量販店で買ってきた荷物をリアシートから下ろす。
躊躇なく玄関の扉を引き開けて、大きな声で家主に呼びかけた。
家の中から朴訥とした年配の男性が顔を出す。
伊野尾くんの姿を見て、少しだけ表情を崩したようだった。
「礼はいいと言ったろうに」
伊野尾くんがここに来る前に言った通り、その男性はお礼を固辞していて、非常にぶっきらぼうだった。
しかし、めげない伊野尾くん。
「違うんです。今日は営業活動に。僕達じつは芸能活動をしていて、テレビにもたまに出てるんです。ＣＤも出してるから、聴いてもらおうと思って。ラジカセと僕達の曲持ってきました。杉山さんに売り込みです」
家の中に強引にラジカセとＣＤを持って入る。
するとその男性は虚をつかれたような顔をした後、満更でもない顔をして笑った。
「今度は猪の捕り方、ちゃんと教わりに来ます」
深々と頭を下げて、伊野尾くんはその男性の家を辞した。
伊野尾くんは俺をちらりと見たあと、
「草の根活動。大事でしょ」
と言った。
本気で売り込みに来たのか、気を使わせない為の方便か、その両方か。
相変わらずおもしれー男だな、と俺は思った。
了。(今度こそホントに)
終わり
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たろう(プロフ) - ぽんたさん» コメントありがとうございます。私も病系をよく読んでしまいます。拙い文章読んで頂いてありがとうございました。 (2023年1月25日 20時) (
レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんた(プロフ) - 連載お疲れ様でした！精神的にも身体的にも弱った伊野尾くんが凄く好きでした。 (2023年1月25日 19時) (レス) @page49 id: 26174ade27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たろう | 作成日時：2022年12月24日 20時
