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10日目 in ページ42

二日前。
薮と光に全て話した。

二人とも、短絡的にひとりでどうにかしようとした俺を責めることはしなかった。

全てを話してしまうと、気持ちが軽くなると同時に、自己嫌悪にも陥った。
追い詰められて、自分勝手に選択肢を狭めて、辞める辞めると周りを巻き込んでこのザマだ。

あの日、薮は俺に尋ねた。

『本当は、辞めたいわけじゃないんだよな』

俺は頷いた。



その翌日、俺はチーフマネージャーに報告した。
マネージメント統括の北崎さんの件もあるから、事務所の人間をどこまで信じたらいいのか分からなかったが、少なくとも彼は信用出来ると思った。

マネージャーは俺の話を聞いた後、苦々しい顔で暫く黙り込んでいた。
そして『伊野尾、すまなかった』と頭を下げた。
彼が悪い事など何もない筈だったが、ヤスカワたちとの食事に、俺を一人で行かせたことを後悔しているようだった。
俺が勝手に一人で行ったというのに。

北崎さんが本当に写真の出処かどうかは、光の想像の域を出ないので伝えなかったが、俺のCMの話や最近の俺への仕事の割当てなどから、何となく察したようだった。

『絶対にこれ以上お前の状況が悪くなるようにはしないから、少し時間をくれ』
マネージャーはそう言った。

相談して、CMの話は断ることにした。
企画が結構進んでしまって、各方面に迷惑をかけることは容易に想像出来たが、彼は『俺の腕の見せ所だから』と軽く笑っていた。
本当に、よく出来たマネージャーだと思う。

CMの話を断るとなると、クライアントの担当者である野田にもお詫びをしなくちゃならない。
正式には事務所から断りと様々な折衝が有るのだろうが、個人的にも会って謝りたかった。

『明日、野田に会うことになった』と伝えると、薮と光が一緒に来ると言い出した。
久しぶりに野田の顔を見たいらしい。

それぞれの仕事が終わり、少し遅めの時間。
少し上等な個室の居酒屋で、同窓会のようなその集まりは行われることになった。

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たろう(プロフ) - ぽんたさん» コメントありがとうございます。私も病系をよく読んでしまいます。拙い文章読んで頂いてありがとうございました。 (2023年1月25日 20時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんた(プロフ) - 連載お疲れ様でした!精神的にも身体的にも弱った伊野尾くんが凄く好きでした。 (2023年1月25日 19時) (レス) @page49 id: 26174ade27 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たろう | 作成日時:2022年12月24日 20時

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