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今までいのちゃんにとってしんどい時期はたくさんあったと思う。

ガツガツしてない(ように見える)いのちゃんだけど、でも一方で心の真ん中の所で決めた信念は、決して曲げない頑固な所もある。

この仕事に執着はしてないけど、やると決めたらやり切る、確かな意志がいのちゃんに有る事を、大人になるにつれ俺は解ってきた。

悔しそうな顔をしないのは、他人に自分の心を見られたくないからで。
誰かと比べて負けることより、自分が出来ない事に対してめちゃくちゃ悔しいと思っている事も解ってきた。

そして、JUMPのメンバーと一緒に仕事をする事が、めちゃくちゃ楽しくて幸せだと思っている事も。

解ってるんだよ、いのちゃん。

だから何で今なのか。





今日はいのちゃんと俺と2人の、ラジオのレギュラーの日。
でも、いのちゃんはいない。

代打として、薮が来ていた。

打合せ用の部屋で、俺と薮はスタッフさんから渡された簡素な台本をパラパラとめくる。

これ、いのちゃんが先々週リスナーのメールから思い付いた企画だな。
いのちゃんが楽しそうに思い付く企画、結構好評だったり盛り上がったりすんだよな。

「せっかく企画になったのに、本人がいないんだもんなあ」
「どした?光」
対面に座っている薮が台本から視線を上げる。
「いやこの企画、いのちゃんが思い付いたやつだからさ。結構多いのよ、いのちゃん発信の企画」
「バカバカしい事テキトーに言ってるようで、たまには役に立つ事もあるんだな」
「薮、辛口ー」
「これでもホメてる」
「相変わらず、いのちゃんに塩対応だねぇ」
「あいつも俺をいじり倒すだろ?お互い様だよ」
「まあ、付き合いも長いもんね」

薮といのちゃんは同期だからな。
俺とはまた違った関係性があるんだと思う。

俺も薮も、いのちゃんとはホントに長い付き合いだもんね。

「そういえばさぁ」
ふと、いのちゃんのCMの話を思い出す。
「いのちゃんのCMの話持ってきたの、『のんち』だって知ってる?」
「『のんち』って、誰だよ」
全く思い出せない体の薮。
「ほら、Jrの時にいたじゃん。野田。俺とかいのちゃんと同い年の」
顔をしかめて、あっち向いたりこっち向いたり、薮は必死に思い出そうとしている。
「中学校卒業する頃には、いつの間にか辞めちゃってたけど。細くてちっちゃい奴」
「ああ!」
ポン、とまるでコントのように掌を拳で叩く薮。
「のんち、な。思い出した!」

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たろう(プロフ) - ぽんたさん» コメントありがとうございます。私も病系をよく読んでしまいます。拙い文章読んで頂いてありがとうございました。 (2023年1月25日 20時) (レス) id: ad9f11bcb3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんた(プロフ) - 連載お疲れ様でした!精神的にも身体的にも弱った伊野尾くんが凄く好きでした。 (2023年1月25日 19時) (レス) @page49 id: 26174ade27 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たろう | 作成日時:2022年12月24日 20時

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