ライオン先輩と猫ちゃん (ページ10)

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私とお兄ちゃんの掛け合いをみてから、火がついたように話し出した樹先輩。

クラスに帰って、いつものように私のことを話すしょったとお兄ちゃんを見てさらに頭がこんがらがった、とか。

お兄ちゃんとしょったが幼馴染って知って、必然的に私も幼馴染なのを知って
もっと詳しく！としょったに質問攻めした話とか。

まぁ、しょった繋がりで幼馴染はもう一人いるんですけどね。
それはまた後で。

楽しそうに、顔をくしゃ、とさせて笑う樹先輩。

この人といたら毎日楽しいんだろうな。
そう思っている私がいた。

もちろん、奈々ちゃんといても楽しいし
ジェスとか慎ちゃんといても楽しい。

けど、なんか違う。

先輩にだけ、なにか違う楽しさがあった。

先輩を見てると、きゅーっと締め付けられるような、心が満たされる感覚…

なに、この感覚。

樹「猫ちゃん？どうかした？」

さっきから俯いてた私に気づいた先輩は、立ち止まった。

『先輩って…楽しそうですね…』

樹「楽しそう…って？」

しまった。
また変な言い方をしてしまった。

案の定キョトンとした顔で見つめてくる先輩。

…なんて言えば良いんだろう。この感じ。

私の語彙力じゃ、この感情をうまく説明する言葉が出てこなくて、焦る。

北「わかるよ、言いたいこと。」

『…お兄ちゃん』

北「楽しいよな…樹って。」

『ふふっ、うん』

お兄ちゃんには通じてたみたい。
安心して、お兄ちゃんと目を合わせて微笑んだ。

樹「ちょ、なにその感じ…俺だけわかんねぇ！」

北「Aをわかるのはまだまだ先だなぁ」

樹「つーか笑ったじゃん、めっっっちゃ可愛いんだけど。
　俺にも思ってること教えてよ。」

『…嫌です』

樹「…よし決めた！猫ちゃんのことわかるために俺これからずっと猫ちゃんといるわ」

『…それも嫌です』

樹「拒否権ありませーん」

なんだその理不尽さ。

北「A…？樹はほんとにいいやつだから。」

『…うん』

北「少しずつ。少しずつでいいよ。」

『…さすがお兄ちゃん。』

北「樹が誰かをお気に入りって…珍しいんだから。」

『…そっか』

少し前を歩く先輩に聞こえないように、小さな声で話しかけてくるお兄ちゃん。

この私のごちゃ混ぜな感情、わかってくれたかな。

先輩に私のことをわかってもらいたい、とい期待と。

こんな私が。という…不安。

初めての感情に、明日からが少しだけ怖くなった。

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