ライオン先輩と猫ちゃん (ページ30)

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学校に向かう途中、他愛もない話をしていたら

樹「あ、そうだ、連絡先教えて」

『あ、はい』

樹「昨日連絡しようと思って携帯開いたのになくてさ」

『忘れてましたね』

ほい、と言って画面のQRコードを見せてくる。

私も読み取り画面を開いて、先輩の画面を読み取る。

"じゅり"という名前が出てきて、追加のボタンを押す。

樹「A。」

『へっ』

急に名前を呼ばれるから驚く。

樹「いや、名前。猫ちゃんってしか
　呼んでなかったよなって思ってさ。」

『…はぁ。』

私の某メッセージアプリの名前はフルネーム。
"松村A"

樹「まぁ猫ちゃんって登録するんだけどね(笑)」

『…お好きにどうぞ』

お好きになんて嘘。

ほんとはAって登録してほしいし、呼んでほしい。

友達とお兄ちゃんしか名前では呼ばれない。

心を許した人。

しょったは猫ちゃんって呼びはじめた本人だから気に入ってる。

ちゃんと理由もあるしね。

けど、やっぱり私の中で特別な存在になってきている先輩には名前で呼んでもらいたい。

樹「これでいつでも連絡取れるな」

『そうですね』

樹「夜電話とかしちゃおうかな～」

『…起きていれば』

樹「え、かけていいの？」

『起きていればですよ』

樹「そんなん言われたら俺かけちゃうよ～」

電話はあまり得意な方ではない。

話が上手いわけでもないし、面白い話もない。

変わらぬ毎日を送っている私からすれば

先輩の毎日はすごく輝いているんだろうなって。

私の勝手な想像でしかないのに、人気者だなってまた落ち込んだ。

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