ライオン先輩と猫ちゃん (ページ23)

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樹「落ち着いた？」

『…はい。すみません』

樹「全然いいよ。俺こそごめんね」

『大丈夫です』

樹「もう遅くなっちゃったし帰ろっか」

『…そうですね』

急に寂しさが込み上げてきて、帰りたくない気持ちがある。

樹「北斗に怒られっかなぁ～。」

『え？』

樹「さっき掴まれたとこ、赤くなっちゃってる。」

私の手首を優しく撫でてくる先輩。

今の今まで気づかなかったけど
さっき先輩、"俺の女"って言ったよね…。

恥ずかしさと嬉しさで顔が熱くなる。

…暗くてよかった。

樹「覚悟しねぇと(笑)」

『そんな怖くないですよ』

樹「いや怖ぇよ…」

行く時はあんなに戸惑っていたのに

こんなに楽しい時間を共有すると、自然と互いに手を繋ぎ合う。

樹「手、小さくて可愛い」

『…先輩の手は男の人の手してますね』

樹「えぇなにそれ、男の人の手って？」

『…骨張ってて、かっこいい』

樹「っ…」

先輩が急に顔を背けた。

耳が赤い。

『先輩？』

樹「…それ反則。」

ボソッと呟いた声はかろうじて聞こえたけど…

『反則って？』

樹「無自覚ってやべぇな…」

『え？』

次の声は聞こえなかった。

それでも、繋いでいる手が少し力が強くなった。

樹「あんまそれ、他の男にすんなよ。」

『…どれ？』

樹「そーゆーの。」

繋いでいない方の手でおでこをつつかれる。

『いて。』

そのまま前髪を流される。

樹「よく顔見せて。」

『…っ』

月の明かりに照らされている先輩の目は、今までの優しい目とは違って

色気が感じられた。

トクン。

胸が高鳴る。

先輩に触れられた場所が全部熱い。

樹「そんな可愛い顔したら帰したくなくなるじゃん。」

私たちだけ時が止まったように

私を見つめる先輩から、目を逸らせなくなった。

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