ライオン先輩と猫ちゃん (ページ21)

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結局先輩は私の写真を消してくれなかった。

あれからクレーンゲームだけでなく、いろんなゲームもやった。

先輩と何回も対戦したのに一回も勝てなかった。

『先輩強すぎる…』

樹「猫ちゃんが弱すぎんの(笑)」

そして無意識に、いつもお兄ちゃんと話すような雰囲気で話せるようになっていた。

先輩といるのがすごく心地いい。

樹「はぁ～久々にはしゃいだ」

『楽しかったです』

樹「喉乾かね？」

『少し』

樹「俺買ってくるから、猫ちゃん待ってて」

『私もいきますよ』

樹「いいから、すぐ帰ってくるから。」

『…わかりました。』

外はもう薄暗くなり始め、夕焼けが私の頬を照らす。

すごく。楽しかったな…。

ベンチに人影が映る。

『先輩…？』

「あーごめん、先輩じゃねぇんだけどさぁ～」

「一人でいるのー？可愛いね～」

先輩が帰ってきたと思って顔を上げたら

見知らぬ男の人が二人立っていた。

『だ、れ…』

「えぇ～怯えちゃって、怖いことしないよ？」

「ちょ～っと楽しいことするだーけ」

ベンチの両隣に座る男性は二人で私の肩を組んできた。

気持ち悪い…怖い。

『や、めて…』

「大丈夫、大丈夫。」

「なんなら先輩と一緒に来てもいいんだけどね～」

どうやら先輩を女の人と勘違いしてるよう。

一人でもいいか、なんて私の腕を掴まれる。

『…！離して…！」

「うるせぇよ。」

耳元で低い声でそう呟かれた。

怖い。声が出ない。足が動かない。

先輩…たすけて…

樹「おいてめぇら何してんだよ…」

『せ、んぱい…』

絞り出した私の声は

自分にも聞こえないくらい小さな声だった。

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