ライオン先輩と猫ちゃん (ページ12)

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翌朝、いつも早起きなお兄ちゃんだけど、今日は先に学校に向かっていた。

まだ完全に起きてない頭を働かせて着替えて、せめてもの薄いメイクをする。

メイクといっても眉とリップくらい。

母「もうちゃんと起きて。気をつけて行きなね、」

『…お兄ちゃんなんで私のこと置いてったの。』

母「一緒に行くのもたまにでしょうが。」

『ふん。』

なんとなーーく、今日は一緒に行きたかったのに。

『行ってきます』

母「はい、いってらっしゃい」

玄関をでると、門の前に見慣れない人影があった。

『…だれ』

樹「お、猫ちゃんおはよ」

『え、先輩…』

樹「んは、北斗に猫ちゃん何時に行くか聞いちゃった」

てへぺろ、と言わんばかりに舌をぺろっと出してお茶目な顔をする先輩。

だからお兄ちゃん先に行ったのか…。

でも、こんなピンク髪と一緒に学校に行ったら絶対目立つに決まってる…。

『…先に行ってください』

樹「やだよ(笑)猫ちゃんのこと待ってたんだから。」

『なんで私なんですか』

樹「猫ちゃんのこと知りたいから。」

真っ直ぐな瞳でそう伝えられると、返す言葉が見つからなくなる。

『…私は、目立ちたくないんです。人見知りだし。』

樹「でももう俺とは自然に話せてるよ？」

『…っ』

確かに…

こんなにも友達以外の人ですらすらと言葉が出てきたのは正直初めてだ。

樹「行こっか、猫ちゃん」

うまく話を丸められた気もするが
少し先輩と行ってみたいっていうのが本音。

『…お兄ちゃんいないし、しょうがないから行きます。』

樹「んは！(笑)しょうがないのね(笑)」

今日もゴールドのアクセサリーをじゃらじゃら付けてる先輩。

ネクタイは程よく緩んでいて、少し見える鎖骨がすごく男らしくて、見入ってしまった。

樹「なに見てんの(笑)」

『へ、いや…』

樹「朝から見惚れちゃった？」

『…そんなことないです』

樹「ほんとは見てたくせに～」

『うるさいです』

樹「ツンデレだなぁ～」

横からニヤニヤしながら肘でついてくる先輩。

樹「なんか俺まじで可愛すぎてどうしよう…」

『…なに言ってるんですか。』

樹「いや、なんか俺の心がガッと掴まれたよ」

『訳わかんないです』

色んな女の子に言ってそうだな。
きっと先輩は色んなことを経験してるのだろう。

私とは、違う…

これ以上、心を開いてしまったら。

戻れない気がする。

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