NRCの喫茶店。【ツイステ】 (ページ10)

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6.恋人ページ10

クルーウェル先生が煙草を吸っているという捏造、主人公が煙草を吸う描写があります苦手な方はお気をつけください

もう入学式は終わったので、早速手紙を作ろうと、前へ足を進めた。
最近は風が冷たく、感傷的な金木犀の香りもするような季節になってきた。ここまでの道のりを考えると、何だか感慨深いものがある。薔薇の王国で生まれ、デイヴィスと出会い、小中高大と同じ進路を進み、今では同じ学園の教師だ。よくよく考えてみると、デイヴィスとは32年間一緒にいてもらっている。こんな俺みたいな奴と付き合ってくれて、本当に優しい奴だ。…本当に。

そんなことを考えているうちに店に着いた。鍵を開けて中に入り、カウンターの椅子に座る。
何だか無性に口が寂しくなって、エプロンのポケットから残り5本の煙草を取り出し、カウンターテーブルの上にあった年季の入ったライターで火をつけた。実は重度のベビースモーカーなのだ。5本目に突入した途端不意に、後ろから「また煙草か」という聞き慣れた声がした。

「吸いすぎだ。体に悪いぞ」
「あっ」

デイヴィスは俺の手から煙草を奪い、息を吹きかけて火を消した。煙が舞い、独特の苦味を纏った匂いが部屋を埋め尽くす。

「最後の一本がぁ……それにデイヴィスも煙草吸ってるだろ。」
「俺は適度に吸っているんだ。お前みたいに1日3箱吸って消臭スプレーで匂いを誤魔化しているようなバッドボーイじゃない。」
「う…」

図星をつかれてつい黙ってしまう。何故バレているんだ。本当にこいつは観察眼が鋭いんだなと改めて思う。昔からそうだ。体調が優れなかったり、ブロットが少し溜まっていたりなどした時は必ず気づいてくれる。

「せめて1日1箱にしろ。わかったか？」
「…はーい」
「辞める気がないのなら、コーヒーをくれ。」
「は〜い！」
「はぁ…」

デイヴィスは、俺が面倒くさがってやらない＝煙草が1日1箱になる←それに俺が気づかない←ハイ論破〜ってやりたかったらしいけど、やっても無駄だ。煙草がないと禁断症状が出てきてしまい、生きていけないから。つまりは煙草が恋人なのだ。デイヴィスは実験が恋人だから、(おそらく)あまり変わらないだろう。そのようなずる賢い思考を巡らせながら、コーヒー豆を挽き始めた。