名高き殺戮者は神に乞う (ページ6)

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第五話ページ6

下まで降りきるとスマイルの言う通り初めて見る生物ばかりが居た。
魚と人が混合したような生物もいれば、昔海に落ちたときに見たグニャグニャの生物もいる。
しかも水に囲まれていて息をしても気泡は出るのに、苦しくない。
頭を傾げるとスマイルにフッと笑われる。

「だろうな。俺も初めて来た時、ありえないと驚いた。」
「…なぁスマイル。ここはどういうところなんだ？」
「海洋神の力で出きた空間だな。」
「へぇ、海洋神って凄いんだな。」
「ま、神だしな。」

神ってこんな事もできるのか。
じゃあ創世神はもっと凄いものが出せるのかな。創世ってついてるくらいだし。
そう思っていると、目の前に影ができた。

「おいおい。まぁた新しい人間かぁ？」
「本当に海洋神様もわかってねぇよな。
人間なんかよりも俺ら魚人のほうが役に立つってのに、人間ばかり優遇してさぁ。」

どうやらさっきスマイルが言っていた攻撃的な人たちに絡まれたらしい。

「今回はもっと小さい人間じゃねぇか。これならまだ太陽神様の人間のほうが役に立ちそうだよな」

「は？」

小さくてもいいじゃんか。小柄だと侵入しやすいし、相手の攻撃も躱しやすい。
それに比べてお前らは大きいから身軽な動きはできないし、狭いところも行けない。
ハッとバカにするように鼻で笑うと、スマイルと目の前の奴らが驚いた顔でこちらを見た。
スマイルは心配そうな顔をしたが、人を簡単に軽蔑するやつはたいてい弱いから大丈夫だ。

「俺は負けないけど。お前たちはどうなんだ？」

そういうと思い通り殴りかかってくる。…まぁ、力は強いから速くはないな。
その攻撃を避けてから後ろ側にまわって、相手の首に少し食い込むくらい爪を立てる。

「俺の勝ちだな。一対一だと小柄な方が有利なんだよ。」

俺の中では、だけど

「クッソ…。…まぁいい。今回は見逃してやるからな。」

もう一人が俺が倒した方を担いで去っていく。
一連の流れを見てスマイルが驚いたような顔をした。

「お前…、やっぱ強いんだな。」
「…まぁ伊達に軍人やってないしな。」

その後は先程のを見たのか遠巻きに見る人は増えたが、ちょっかいをかけてくる人は居なかった。

「ん。ついたぞ。」

見上げると巨大な水扉が立っていた。

「ここも水なのか。」
「あぁ。そこの取手で引いてみろ。」

スマイルに言われたとおりに水扉を引くと、思っていたよりも簡単に開いた。
しかし中は流石に水はないようだった。