名高き殺戮者は神に乞う (ページ2)

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第一話ページ2

意識がゆっくりと浮上してくる。同時に体の感覚も戻ってきて頬を撫でる心地よい風を感じた。
その風に驚いて跳ね起きると、目の前に人の顔が見えて後ろに飛び退く。

「…誰、お前。」

なんていうと、目の前の人は少し離れて笑みを作った。

「そんなに睨まなくてもいいんじゃない？俺はnakamu。創世神だよ。」

そうせいしん…？首を傾げる。

「あれ？聞いたことない？君の板世界では結構信仰していた人いたと思うんだけどな〜。」

「…あぁ、聞いたことある。確か誰かがそんな名前を言っていたな。…本当に、創世神なのか？」

話している間に目の前の相手を観察する。片目を覆い隠すほど髪が長く、見えている方の目は空を吸い込んだような澄んだ水色で、謎のローブを羽織っている。…なんだ？あのローブは。
いや、それより大事なことがある。

「俺、死んだはずだけど。」

たしかに俺はあの時、撃たれて死んだはずだったんだ。
…なのになんで生きている？やっと死ねたのに。俺らしく戦場で死ねたのに。

「だって君は今まで多勢の人を殺してきた。だからこの天界で罪を償ってもらうために、
魂と一緒に体も持ってきたんだ。」

「…、ぇ」

俺が多勢を殺してきたことは誰でもない俺が一番知っているが、天界で罪を償う？
俺が殺してきた人たちは生きたかった時間が俺に潰されたから、俺も死んで生きる時間が少なくなったほうがいいんじゃないの？

「君は何もわかってない。罪を償ってもらうためには、死ぬ以外の償い方を知って実行しないと。」
「償い方を知って、実行する？…というかお前今、俺の、考えてること…」
「うん。読んだ。創世神ならそれくらい容易いことだよ。君が知りたいこともだいたい教えられる」

本当なのか？創世神だってこと。じゃあ…と、疑っているのになぜか口を開いてしまう。

「…じゃあ、創世神よ。貴方は、

　生命とは、

　殺戮とは、

　強さとは、

　神様とは、

　感情とは、

　
　 …俺とは、なんだと思いますか？」

　久しぶりに使う丁寧な口調で、自身を神だと名乗る青年をまっすぐと見据えながら。