A whole new world14 -jaejoong-

先輩達の笑い声 ページ47

和沙さんの神妙な面持ちに、

私の沈黙。

そして利玖君の泣き声。


幸せいっぱいの家庭に流れるただならぬ空気に、
桃さんも弘人さんも黙ったまま。


すると、突然和沙さんが立ち上がってキッチンに行き、ゴソゴソと何か始めたかと思うと、



和「弘人、悪いけど利玖と1時間ほど散歩行って来て」



大きめのトートバッグに哺乳瓶を入れて弘人さんに差し出した。



弘「へ？あ、あぁ・・・うん」



言われるがままにバッグを受け取ると、
私から利玖君を受け取りリビングを出て行った。



和「さ〜て。花嫁として先輩のお姉さん達に話してごらん？」



ソファーに座る私の隣に浅く腰掛けて、
覗き込むように言う。


利玖くんを手離してから、だらんと降ろしているだけの左手が
和沙さんのあったかい手に包まれる。


それがすごく頼もしくて、嬉しくて、



「頭では分かってるのに、心がついて来てなくて」



何から話せばいいのか考えたけど、

どうせうまく話せない私の事だから、

思いつくまま言葉にした。



日本で結婚式をすること。

日程も会場も決まっていたこと。

どんどん進んで行く準備。


でも自分は何も出来ずに、

ジェジュンに任せっきりな情けない自分と、

意見が違えば、一丁前に反発だけして
結局彼に折れて貰ってるワガママな自分への憤り。

迫る結婚式に焦りながらも、

このまま彼と結婚していいのか迷う気持ち。


昨日、空港であったファンからの厳しい言葉も重なって、


恐らく私の不安を感じ取った彼から
今日は無理して来なくてもいいと言われた事。


頑張らなきゃいけない自分が、

それを分かっているはずの自分が、

全く行動に移せずに、
ただ彼の優しさに甘えているだけの状態。


どれだけ伝わったか分からないけど
一気に話した私に、



和「・・・Aちゃんてある意味すごいね(笑)」

桃「Aのマイナス思考は分かってるけど、ここまで度が過ぎると尊敬すらしちゃうわ(笑)」


人生の先輩達が、
私のモヤモヤな心中とは裏腹に明るい笑い声をあげた。

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