颯爽と現れたのは ページ29
〜No side〜
月「(特別が欲しかった
ただ君からの特別が欲し
かっただけなんだ)」
ーぽた、ぽた
雨とは違った生温い水滴が
月華の頬をゆっくり撫でて
地面に融け落ちる
月「(...神様、私は耐えた筈だよ
誰よりも...きっとどんな聖人より
耐えたよね...？)」
これも試練なのか？神様はまだ
私に苦しみ苦しみ苦しみ苦しみ
苦しみ抜けと望みながら、私を
観客席から見てるのか？
月「ぅ、っぁ...」
月華の涙は拭われない、王子
様...いやこの動物も主人を見
据えるだけ
月「(いつも...寂しげだった君を
笑わせたかったんだ、昔から遊び
に誘ってたのはその為だったんだ)」
幼い自己満足だった、でも
少なからず彼の為になって
いるとは思っていた
けれど、もうダメでした。少女
にはもう彼という存在を照らす
月になれなかった
ーザッ
濡れた目を手で拭いてる最中に
白黒のつむじが目の前に現れる
月「...合、歓」
「...何、泣かせてんの」
月華を庇う様に立ちはだかる様は
王子様には程遠い、小さな忠犬の
様
咲「...僕達、個人の話です
命令ならばお答えします」
「じゃあ結構ッ！理由は聞かない
けど、主人が泣いてんのに...何も
しないってどういうつもり！？」
咲「..............」
「...あぁ、そう」
ならいい、と月華の手を握り
咲鶎の肩にわざとぶつかった
上でAは退散する
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作者名：スカーレット | 作成日時：2021年12月15日 14時
