椿姫物語 5【世界一クラブ】 (ページ28)

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それは砂糖菓子の様にページ28

〜No side〜

昔、昔

特別になりたい女の子がいました。
その女の子は、普通の子供より少し
だけ容姿も頭脳も秀でただけでした

けれど神様はそんな才能を与えた
彼女を作った事を失敗だと思った
からか

彼女よりも秀でた弟、その弟を
母が彼女よりも愛を注ぐ様にと
弟の模造品だと罵られる運命を
彼女に与えました。

女の子は悲しくて悲しくて誰も
家族も信じたくなくて、そんな
自分も信じられなくなって自己
嫌悪に浸りました。

そんな彼女を見て不憫だと
思ったのか、神様は王子様
を与えました。

しかし普通の王子様ではありません
会ってすぐに互いが恋に落ちる陳腐
な物語は飽きてたからです。

だから神様は王子様を使用人とし
無愛想で口を開けば、皮肉や悪口
しか言わない様な...天邪鬼にしま
した

ですが女の子はそんな彼が好き
になりました。常に自身の地位
や権力にしか興味なく媚を売る
男なんかより、素敵だと思った
から

彼の特別になりたいな、彼の
お姫様になりたい、彼となら
きっと、私は、幸せになれる

だがやはり試練は与えられる
物でして、神様は彼と女の子
を引き離したのです。

彼女の想いは色褪せず
薄れず、軽く脆くなら
ないか

彼女は耐えました、きっとどんな
小さな我儘も許さないで耐えたの
でしょうね

それは彼女の好敵手たる女
の子から見ても明白でした
だから神様は

再び、二人を引き合わせました

ですが今度は王子様に呪いが掛か
ってました、王子様は自分を人間
じゃないと思ってました。

自分が人間である誰かを好き
になる資格も、権利も価値も
無い。皮肉だ。彼女はそんな
彼が好きなのだから。

王子様は昔から誰かの側にいる
事を嫌った、善意も悪意も好意
も嫌いだ。だってそれは自分を
惨めにするからだ

彼は昔、遠回しに彼女の好意を
断った事がありました。『自分
は貴女の事が好きじゃない』と

でも嬉しい事か悲しい事か
そんな皮肉は通じなかった
だから今、それを否定した

いい加減、夢から醒めなよ
という自分の願いを込めて