椿姫物語 5【世界一クラブ】 (ページ22)

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兄弟達の夜ページ22

〜No side〜

バルコニーを隔てた内側から
微弱な笑い声を聞きつつ作戦
成功のメールを読んだ和馬は
胸を撫で下ろした

和「(これでオレも御役御免
だな、早く帰るとするか...)」

和「...これで借りは
返したからな、妹」

ーぼふっ

同時刻、明日は早いのに
何故か寝付けずにベット
にダイビングしたA

一番に思い起こしたのは
自分を、不器用ながらに
心配していた和馬の顔

「...ありがとう、なんて
死んでも言ってあげない
から」

「兄さん」

ーコツ、コツッ

功「今、帰った」

散「おかえりなさいませ」

功「ぁあ、仕事が
滞っていてな...」

散「お荷物、お預かりします」

功「任せた、あぁ...後で
夜食を任せられるか？」

散「畏まりました」

功徳が去ると散雁はため息を吐く
そのため息を聞いた、とある少年
が散雁に歩み寄って悪態を吐く

『功徳様、僕達がまだ仕事中
なの分かった上で言ったんだ
ホンット昔から傲慢だな』

散「...そんな言葉
使っちゃダメだよ」

散「咲鶎君」

咲「ふんっ」

咲鶎は姉である彼女に代わり
悪態を吐く、黒髪を揺らして
そっぽを向く様は正に猫だ

咲「夜食は僕が作ってくるよ
だから姉さんはもう寝なよ」

散「いいよ、大丈夫だから...っ
咲鶎君も...寝る準備してきなよ」

咲「...分かった」

椿「何、まだ終わってないの？」

ーびくっ、きっ

その声に肩を揺らしたのは散雁
そんな姉を守る様に、前に立ち
はだかったのが咲鶎

椿「散雁、アンタ...今日
何処に行ってたのよ？」

散「ぇ、ぇっと...」

椿「まさか、男の子とデート
していたとか言わないでしょ
？」

散「.......そ、の」

椿「知らないと思う？」

ーぐりっ...

椿はぐりぐりと散雁の胸を指
で抉る、咲鶎は耐えるが顔の
形相が歪んでいた

椿「ぁあ、違うかぁ...アンタは
あくまでコウ君とそのお父さん
との仲人役だった」

椿「使用人らしくなったわね？
その間に愛も恋も惚れた腫れた
も無い」

散「......ッ、ぃ、ぃたいです」

椿「口答えするな！！」

ーずんっ

反感を買った散雁は指での
突っつきから、手のひらで
吹っ飛ばされる

咲「やめろ！！
姉さんを虐めるな！」

咲鶎は今度こそ姉の前
に立ち、主人から庇う