忘れたい恋心は日に日に募り、大きな愛へと変わる (ページ8)

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episode8 ページ8

〜アルバート〜

Aが我が家に住むようになって半月が過ぎた

まだ、ぎごちないとはいえ生活には慣れてきた様子

ウィリアム達は極力Aには近付こうとはしない

それはいい

ただ問題があるとすれば

｢ホームズさんと約束あるので行ってきます｣

やたらホームズに会いに行くこと

それも毎日

二人で何をしているのか聞いても｢世間話｣としか返ってこない

そしてAは今日も、朝食も食べずに出掛けてしまった

アルバート｢ウィリアム。ホームズは殺しても良かったかな？｣

ウィリアム｢ダメです。彼には役割があるのですから｣

アルバート｢何が悲しくてAが他の男と会うのを笑顔で見送らないといけないんだ｣

ジャック｢相当重症だな｣

どんな状態であれ、側にいたい願いが叶ったんだ

今更、手放してなるものか

ウィリアム｢そういえば兄さん。以前に相談を受けていた件ですが……｣

アルバート｢殺すのがダメならどうにか二人を引き剥がさないと｣

ウィリアム｢聞こえていない｣

モラン｢基本は俺らが動くんだし、後で伝えりゃいいだろ｣

ウィリアム｢そうだね｣

アルバート｢こんなとこにいる場合じゃない！すまないが私は出掛ける｣

ボンド｢行っちゃったね｣

モラン｢あんなに自分の世界に入るなんて珍しいな｣

フレッド｢彼女のことがよっぽど好きなんですね｣

ルイス｢でも変ですね。僕はともかく、兄さんにも何も言っていないなんて｣

ウィリアム｢必要ないと思ったからじゃないかな。“部外者”には｣

･

どこにいるかも分からない人を探すのは骨が折れるが、相手がAだと苦にならない

そして何より、Aの姿は私の目に映る

例え顔が見えなくても、それがAであると絶対の確信を持てる

それほどまでにAは特別なんだ

あぁほら

もう見つけた

私でさえまだした事のない、ホームズと腕を組んで歩くAを

今すぐにでもあの男の脳髄めがけて発砲してやりたいが、Aがすぐ隣りにいる事を考慮すると実行には移せない

どうして君の隣りにいるのが私ではないんだ

いつだって私だった

側にいたのは

その手を引いて二人だけの世界に行けたらどれだけいいか

側にいるだけでは物足りない

初めて出会ったあの日から、Aを手に入れることばかり考えていた

それを口にしたら全てが壊れてしまいそうで、偽りの友情を演じ続けてきた