忘れたい恋心は日に日に募り、大きな愛へと変わる (ページ5)

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episode5 ページ5

〜アルバート〜

記憶を失ったAは一歩半下がって私の後をついてくる

ウィリアム達は気を遣ってくれて二人にしてくれた

一通り屋敷の説明が終わって、ある問題に気が付いた

Aの物がない

買い揃える必要があるな

買い物と称してデートするのも悪くない

うん。そうしよう

アルバート｢私達は少し出掛ける。家のことは頼むよ｣

ウィリアム｢あぁ、はい｣

ルイス｢それならついでにこれを買ってきてもらえますか？｣

ルイスからメモを受け取って、すぐ返した

アルバート｢すまない。二人で出掛けるんだ｣

ルイス｢え？あ、はい。ですので……｣

ウィリアム｢ルイス。“邪魔”をしてはいけないよ。｣

ルイス｢？？っ……す、すみません！二人でゆっくり楽しんできて下さい｣

アルバート｢ルイスはおかしなことを言うね。私達は買い物にいくだけだ｣

モラン｢(ならルイスのお使いも聞いてやれよ)｣

アルバート｢さ、行こうかA｣

愛しいその名を再び呼べる嬉しさに、胸が躍るとはこの事だ

差し出した手をAは不思議そうに見つめる

｢貴方は行かないんですか？｣

私に背を向けたAはそのままボンドと向き合った

いくら彼が“元女性”の“アイリーン･アドラー”だとしても、“今”は“ジェームズ･ボンドという男”

そんなに見つめ合って欲しくはない

ボンド｢(アルくんの笑顔が怖い)｣

アルバート｢ダメだよA。ボンドは……そうだ。まだ彼らの紹介はしていなかったね

右から順に、フレッド･ポーリックセバスチャン･モランジェームズ･ボンドジャック･レンフィール。皆、優しい人達だよ。でももし、何かされたらすぐに僕に言ってくれ。それなりの対処はしておく｣

｢………｣

アルバート｢A？難しい顔をしてどうした？あぁ、モラン大佐の顔が怖いのが気になるのかい？｣

モラン｢あﾞぁ！！？｣

｢いえ。何でも……。あ……っと、買い物、ですよね。はい。話し聞いてます｣

アルバート｢うん。聞いてないね｣

そういう愛らしい一面は私だけの前で見せて欲しいものだ

アルバート｢ゆっくり話しもしたいし、歩いて行こうか｣

今度は優しく手を握った

興味津々で見てくるウィリアム達に笑顔を向けると一瞬で目を逸らした

｢アルバート様？記憶がなくても歩けますけど｣

アルバート｢知ってるよ？｣

遠回しにバカにされたのか？

悪気はなさそうだし今日だけは許してあげよう