忘れたい恋心は日に日に募り、大きな愛へと変わる (ページ32)

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episode32 ページ32

〜アルバート〜

モラン｢今のはねぇな。紳士としてあるまじき行動じゃねぇのか？｣

ボンド｢確かに、らしくなかった｣

アルバート｢大佐。自分が負けそうだからと心理攻撃かな？｣

モラン｢どこがだ！！全然余裕だっつの！！｣

アルバート｢そうそう。ところで｣

モラン｢急に話し変えてんじゃねぇぞ｣

アルバート｢賭けの何でも言うことを聞くというのは、大佐やボンド、フレッドへの権利をAに、つまりAに4つの命令をしてもいいのかな｣

ウィリアム｢いえ、ダメです(即答)｣

モラン｢何でもう勝つ気でいるんだよ。勝負はまだまだこれからだろうが｣

アルバート｢では、もう再開するかい？｣

モラン｢へぇ……。愛しの彼女は待たなくていいのか｣

アルバート｢そもそもこんなくだらない勝負にAが参加すること事態、私は嫌なんだ｣

モラン｢な……。く、くだらないだと。これは男の威厳を賭けた飲み比べなんだぞ｣

アルバート｢なら問題はないな。このまま続けても｣

万に一つでもA絡みの勝負で私が負けることはない

ただ、0.1%でも可能性があると思われて、その頭の中でAが侮辱されるのが許し難い

Aが戻ってくるまでにほとんど勝負はつけておきたくてペースを早めた

お互い20杯目を飲み干してもAが戻ってこないことに心配になった

広すぎる故に迷っているのか？

だとしたらすぐにでも迎えに行かないと

そんな私の思いを後押ししたのか、それとも自分が休憩したいだけなのか

モラン｢Aの奴。遅くないか｣

まるで独り言のようだ

プライドからか｢行かないのか｣とは聞かない

アルバート｢様子を見てくる｣

グラスを置いて立ち上がると、どこかホッとしたような息をついた

部屋を出てすぐの所にAはいた

その場にうずくまって、今晩は寒くないのに震えている

アルバート｢A？どうしたんだい｣

声をかけると小さな悲鳴を上げた

私を見上げる瞳が恐怖しているのは言うまでもない

アルバート｢落ち着いて。大丈夫だから｣

抱きしめて、背中をさすると震えは段々と収まっていく

A

君は……

事件のことを思い出しかけているんだね

それなら、何も出来ないと嘆くのはもうやめよう

A一人に悲しみも辛さも、全てを背負わせたりしない

アルバート｢僕が君を守るよ。だから一人で泣くなんてもうしないでくれ｣