忘れたい恋心は日に日に募り、大きな愛へと変わる (ページ16)

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episode16 ページ16

〜アルバート〜

踊れないと言う割にはステップはしっかりしている

これもボンドか言っていた体に染み込んだ……というやつか

このまま口付けを落としたら困らせてしまう

もどかしいな

こんなに近くにいるのにAを遠くに感じる

曲が終わって船旅はスタートした

Aの手を離さないでいると、ホームズのほうから歩み寄ってきた

ホームズ｢あっちで飯食おうぜ｣

｢はい。アルバート様ありがとう。私に恥をかかせないでくれて｣

どうして君は私から離れていこうとする

｢アルバート様？｣

貴婦人｢アルバート様！！先程のダンス。とても素敵でしたわ｣

アルバート｢え、あぁ。どうも｣

貴婦人2｢ほんと残念ですわ。パートナーに選ばれなくて｣

貴婦人3｢よければ私達とご一緒しませんか？｣

遠回しにAを侮辱しているのか？

クズはいなくても醜い人間はいるのか

Aのほうがよほど淑女として美しい

｢行ってきたら？私はホームズさんといるし｣

それが嫌だからこの手を離したくない

ホームズ｢んな心配しなくてもAには俺が付いてるって。変な無視は寄り付かせねーよ｣

自分が一番の害虫だと気付いて欲しいものだ

ホームズ｢楽しんでこいよ？アルバート様｣

この男に言われると腹立たしい

しかもなぜAの名前を呼ぶ

本当にどういう関係なんだ

殺人事件の犯人にされそうになったのを救われて恩を感じるのは分かる

そうか

ホームズはその1回の恩でAにいいように付きまとっているのか

夜の海でクルージング

人が一人海に落ちたところで不思議ではない

よくある事故

ウィリアムには悪いが私にはもう我慢の限界だ

さっきから私に見せつけるようにAへのボディタッチが多い

貴婦人｢アルバート様？どうされたのです？｣

貴婦人｢そういえば。先程一緒に踊ってらっしゃったのは、あのクラリス家のご令嬢ですか？｣

アルバート｢ええ。彼女は私の友人でして｣

貴婦人2｢そうでしたの。あんな事があってさぞお辛いでしょう。ですが……｣

貴婦人3｢あんな事がなくてもアルバート様のご友人にはあまり相応しくないかと｣

アルバート｢と、仰いますと？｣

貴婦人｢男爵位が伯爵位であるアルバート様と対等なんて……｣

アルバート｢我々は同じ貴族ですよ。例え階級があろうとも。申し訳ありませんが、その友人が困っているようなのでこれで失礼します｣