忘れたい恋心は日に日に募り、大きな愛へと変わる (ページ13)

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episode13 ページ13

〜アルバート〜

上官｢な……何だと！？｣

アルバート｢全ては“偶然”なのです。私の友人も無事救出出来ました。重ねて感謝申し上げます｣

上には“嘘偽りなく”報告した

この反応は、おそらく彼らはアヘン組織の裏にいたお方のお仲間らしい

コイツらにも裁きを下したいが今は優先すべき事をしなければ

ー情報部ー

マイクロフト｢君はこの誘拐事件を見越して配下の1個中隊をロンドンに待機させていた訳だ。一体どこから仕組まれていた事かね｣

アルバート｢偶然ですよ。長官｣

マイクロフト｢仮に恨みを買ったとて、君も伯爵位を持つ同じ貴族。表立って批判する事は出来んだろう。上手くやったな中佐｣

アルバート｢フ……｣

マイクロフト｢さて、次は君が見返りを得る番だ｣

先日の独り言は長官殿にしっかりと聞こえていた

その上で交渉を持ちかけてきた

だから答えた

欲しい物を

この隠密作戦成功の暁には軍情報部への転属と大佐への昇進

つまり、創設される闇の機関の指揮権

マイクロフト｢全て君の望み通りになる。これから君は形式上、陸軍を退役し、新たな組織を指揮する為ペーパーカンパニーに隠れ“M”と名乗ってもらう｣

アルバート｢“M”｣

マイクロフト｢君に任せよう。我が軍情報部。公には存在しない第6課“MI6”を｣

アルバート｢ありがとうございます｣

マイクロフト｢それと。一つ確認しておきたい。誘拐されたのはあのクラリスの者か？｣

アルバート｢は……？彼女をご存知で？｣

マイクロフト｢知らん者はいないだろう。あの悲劇のクラリス家を｣

アルバート｢あぁ。そういう事ですか｣

マイクロフト｢おや？それは私個人が彼女と知り合いでなくてホッとしたという意味かな？｣

アルバート｢っ、いいえ｣

マイクロフト｢分かりやすいな｣

アルバート｢失礼します｣

マイクロフト｢彼女は君の手に負える人間ではないかもしれんぞ｣

ドアが閉まる前、何かを言っていたようだが私の耳には届かなかった

･

ウィリアム｢兄さん。今回は本当にすみませんでした｣

アルバート｢もういいんだ。Aも無事だったしな｣

ルイス｢お仕事も終わったのなら帰りましょう。久しぶりに皆揃っての夕食です｣

アルバート｢そうしたいのは山々だが、今日はAと二人で食事がしたいんだ｣

ルイス｢そう……ですか｣

ウィリアム｢兄さんの気持ちを汲んであげよう｣

アルバート｢悪いね｣