忘れたい恋心は日に日に募り、大きな愛へと変わる (ページ2)

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episode2 ページ2

〜アルバート〜

夜も深くなった頃、一人でワインを飲みながら思いにふけていた

世界からしたら何気ない今日も、私からすればどんな日よりも特別

あぁダメだな

忘れなければならないのに、抱いてしまった恋心は私の中で根を生やし続けている

ワインを注いだグラスに彼女の顔が浮かんだ

アルバート｢会いたい……｣

そんなことを口にしていた

無意識のうちに零れるのは本心

会って、触れて、言葉を交わしたい

もう一度名前を呼んで、あの頃のようにただ笑い合いたい

そんな欲にまみれた想いに胸を馳せた

フレッド｢アルバートさん？｣

アルバート｢っ……。どうしたんだフレッド。ウィリアムに話しが？｣

一瞬の動揺、水面下が揺れると元のワインに戻っていた

消えたAにガッカリするも、表情は崩さない

フレッド｢はい。でも、もう終わりました。アルバートさんは何を……｣

アルバート｢月を肴に一杯やってるだけさ｣

今のを聞かれたか？

誤魔化す手段ならいくらでもある

フレッド｢ウィリアムさんが言ってました。今日のアルバートさんはいつもと様子がおかしいと｣

アルバート｢ウィリアムが？心配性だな｣

フレッド｢アルバートさん！！微力ながら僕も力になります。だから何かあるなら一人で悩まないで下さい｣

アルバート｢はは。フレッド。君は優しいな。けど、ウィリアム達にも言ったけど、何でもない。子供はもう寝る時間だよ｣

心配してくれる彼らに、こんな風に突き放してしまう自分が嫌になる

一目見たら、この想いは消えるだろうか

そうだ

会いに行けばいいんだ

居場所は分かっているんだし、仕事は2〜3日休みをもらえばいい

もう子供じゃないんだ

“何も出来なかった”あの頃とは違う

今はもう大人なんだ

自分の意志でやりたいことを出来る

最も計画を立てたところで行けるわけがない

その資格が私にはない

言葉でさえ彼女の誕生日を祝ってやれない

最低だ

それなのに自分都合で会いたいなどおこがましい

自分でも分かっている

彼女を忘れようとすればするほど、想いは膨らんでいく

人を好きになるというのはこんなにも女々しくされるとは

アルバート｢フレッド。ありがとう｣

出ていく背中に呟いた

届いてなくていい

私が言葉にしたかっただけ

いつか……もう戻ることの許されないあの日常がまた訪れたらその時は……

来るはずのないその日を夢見ていよう