1話 ページ1
現代の日本で入学式に桜の花が咲いているのを見ることはほとんどないだろう。
しかし、桜の花が咲いているイメージが今だに日本人に残っているのはきっと、散りゆく桜の花の中で咲き誇る桜の花を自分の心に比喩させたのかもしれない_____
「うーん。なんか固いよね。文章が。」
隣にいる少女が、僕の目の前で20分は変化していない紙を見ながら苦笑いする。
「そうかな。僕は自信作だと思うんだけどね。」
「私も良い文だとは思うけど、後輩ちゃんに見せるには固すぎるかも。」
「そっか。じゃあ文章考え直してみる。できたらまたアドバイスもらうよ。」
「わかった。楽しみにしてるね。じゃあ別の子の文章見てくる。」
"楽しみにしてるね"という割に早足で別の子のところに行く彼女を見て少し気分がげんなりする。
彼女との会話をぼーっとする頭で振り返ってみるが、そこまで自分の文章は固いだろうか。
だからといって、彼女のアドバイスを無視はできない。
なぜなら彼女は、全国高校生小説コンクールの準優勝者だから。
僕と違って文才がある彼女のアドバイスを無視してみればいつまでたってもきっと大衆に人気の出る小説なんて書けないだろう。
「でもなぁ。」
そんなに固いだろうか?
やっぱり少し納得できない。
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作者名:くろ | 作成日時:2021年4月28日 21時