いつもと違う朝 ページ38
瞳を開けるととてもスッキリしていた。
上半身を起こして少し腫れぼったい目を擦ると「あまりこすらないほうがいいぞ」と私の下で仰向けになってこちらに笑いかけるフエゴレオン様と目が合う。
「フエゴレオン様、おはようございます」
「おはよう、A。
この会話は今日二度目なんだが、覚えてるか？」
二度目……。
そういえばこの会話もシチュエーションも覚えがある。
「えと……なんとなく覚えてるような？」
一度起きてフエゴレオン様と会話をした気がする。でも、その後眠たくてまた寝てしまったのかな？
思い返しているとフエゴレオン様は「ヤドカリとか引っ越しとか言ってたぞ？」と笑われながら言われた。
「ヤドカリ？ 引っ越し？ フエゴレオン様、何を言っているんですか？」
そう返事した私に「いや……覚えていないなら別にいい……」と呆れたように言われてしまったが、何のことだろう？
疑問に思ったがそれよりも今この状態に謝罪を入れるべきだろう。
「すいません、昨日あのまま寝てしまったんですね」
昨日ソファで隣同士で座っていて泣きつかれて私がもたれてそのまま寝てしまったのだろう。
「あぁ、気にするな」と言ってフエゴレオン様は私の目元に手を伸ばして親指で腫れた目尻を優しくさする。
「少し腫れてしまったな」
と眉を下げながら申し訳なさそうに言う。
確かに昨日たくさん泣いたのでまぶたが重たい。
彼の大きな手に自分の手を重ね目をつむってそのぬくもりを感じる。
「大丈夫です……さめざめ泣きましたが、気分はいいです」
ずっと、フエゴレオン様とお別れする日が刻々と近づいてくることが苦しくて苦しくて仕方なかった。
私の誤解のせいでこんなことになってしまったのだけれど、フエゴレオン様も私のことを遊びではなく真剣に想っていてくれたことにとても安心して、彼とこれからも一緒にいれることがとても嬉しかった。
胸に溜まった不安の泥が綺麗に取り除かれたような、澄んだ気分ともいえる。
それと同時に、私は彼にとてもひどいことをしてしまった。
他に関係がある女性がいるとか、フエゴレオン様がそんなことをする人じゃないことはお付き合いする前から、いや、恋仲になってからも彼の私への態度で分かるはずだったのに、私は信じなかった。
彼をどこかで信頼していなかったのだ。
フエゴレオン様が私なんかを好きになるはずがない、とどこか心の奥底で自分への自信のなさが影響していたのかもしれない。
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あわわ(プロフ) - 頃音様、いつもありがとうございます！長々と申し訳ないですがまだまだ続きそうです。できる限りの１日１話更新ペースで頑張っていきたいです。頃音様もお身体にお気を付けて！これからもよろしくお願いします！ (2019年11月2日 18時) (
レス) id: 7a4853944d (このIDを非表示/違反報告)
頃音(プロフ) - リアルでもお忙しいかと思いますがこちょう様のペースで出来上がっていく物語を陰ながら応援しております！最近は大分寒くなってきたようですので、お身体を崩される事もあります。お気をつけ下さい。 (2019年11月2日 7時) (レス) id: 2fb5f4f14e (このIDを非表示/違反報告)
頃音(プロフ) - 続編おめでとう御座います。前回のコメント返信でヤミさんとの関係の清算が第三章くらいで今はまだ第一章と読んでホッとしました。お話を拝読している時は終わりが近いのかと勝手に思っていたので今後も続くと知って楽しみが増していきます。→ (2019年11月2日 7時) (レス) id: 2fb5f4f14e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こちょう | 作成日時：2019年11月1日 21時
