大切な話 ページ27
「いや、それはこちらの台詞だ。病み上がりなのに姉上が連れ出したのだろう？
嫌だったらハッキリ断っていいんだぞ？」
「そんな！ 大丈夫ですよ。何日も病室にこもっていたのでいい気分転換になりましたよ」
「それならいいんだが」と肩をすくめた彼に食事を一緒にどうかと尋ねると少し迷っているようだ。
「あ……すみません、遠征帰りでお疲れですよね……？」
軽食だけど量も多いし、なにより彼とは話さなくてはならないこともある。
今日話を切り出せるかはわからないけれど……努力したい。
けどよく考えれば遠征帰りで休養はもちろん報告書などの仕事もあるだろう。
「いや！ そうだな！ 丁度少し腹が空いたと思っていたんだ」
「そうなんですね。よかったです。どうぞ」
どうぞ、と言ってもここはフエゴレオン様の家なのだから変な感じだ。
食事が用意されたテーブルを挟んで向かい合わせに座り、フエゴレオン様用のカラトリーやグラスなどを用意する。
ベゼットさん、フエゴレオン様がここに来ると思って多めに準備してたのかな？
それか落とした時用の予備なのかもしれない。
どちらにしても気の利く人だ。
会話をしながらサンドイッチやサラダなど各々で好きなものに手を伸ばす。
「姉上はどこに行ったか知ってるか？」
「ベゼットさんが狩りに出掛けたとおっしゃってましたよ」
「そうか」と特に驚くことなくグラスの水を飲んでいるので、メレオさんが狩りに出るのは日常茶飯事のことのようだ。
狩りって何を狩りにいくのだろうか……。
怖くて聞けなかった。
４０分くらいするとベゼットさんが来て食器などを片付けると砂時計とティーポットとティーグラスを置いて、砂時計を見ながら「これが落ちたら飲み頃です。ごゆっくりどうぞ」と言って部屋を出ていった。
片付けもお茶の準備もあっという間で見とれてしまうほどだった。
砂時計が落ちきったので二つのカップに注ぐと薄い黄金色の
「美味しい」
口に含めばカモミールの優しい味だ。もう夜の９時を過ぎているので紅茶ではなくハーブティーなのには助かる。
何度か口にするとなんとなく記憶にある味だなと思う。
「このハーブティー、お見舞いでいただいたのと同じものですか？」
「ああ、よくわかったな」
フエゴレオン様からいただいたハーブティーのティーバッグの詰め合わせのフレーバーの一つと同じ味だったのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あわわ(プロフ) - 頃音様、いつもありがとうございます！長々と申し訳ないですがまだまだ続きそうです。できる限りの１日１話更新ペースで頑張っていきたいです。頃音様もお身体にお気を付けて！これからもよろしくお願いします！ (2019年11月2日 18時) (
レス) id: 7a4853944d (このIDを非表示/違反報告)
頃音(プロフ) - リアルでもお忙しいかと思いますがこちょう様のペースで出来上がっていく物語を陰ながら応援しております！最近は大分寒くなってきたようですので、お身体を崩される事もあります。お気をつけ下さい。 (2019年11月2日 7時) (レス) id: 2fb5f4f14e (このIDを非表示/違反報告)
頃音(プロフ) - 続編おめでとう御座います。前回のコメント返信でヤミさんとの関係の清算が第三章くらいで今はまだ第一章と読んでホッとしました。お話を拝読している時は終わりが近いのかと勝手に思っていたので今後も続くと知って楽しみが増していきます。→ (2019年11月2日 7時) (レス) id: 2fb5f4f14e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こちょう | 作成日時：2019年11月1日 21時
