4 ページ15
メレオさんはグラスに口をつけて「A、おまえ愚弟のどこがいいんだ？」と今度は真顔で聞いてきた。
改めて聞かれると恥ずかしくて下を向いてしまう。温泉のせいで身体がぽかぽかする。
「えと……優しいところ。私をからかってくる時のいたずらっ子みたいな笑顔も好きですね……」
メレオさんは「へぇ……」と言ってまたお酒グラスを傾ける。
酔いが回ってるのかな？ ついつい喋ってしまう。
でも”好きだ”とかストレートに言ってくれるところも素敵だと思っていることは言わないでおこう。
だって、フエゴレオン様は女性の扱いがうまいからそんな言葉をさらりと言ってしまうだけなのだから。
ふと、王族のお墓でメレオさんが私に言ったことを思い出す。
今なら彼女に聞けると思った。
「メレオさんはどうしてアシエ様のお墓の前であんなことを言ったのです？」
横の彼女を見据えれば、アクアマリンの瞳と目が合う。
「……おまえが愚弟と結婚し王族に入るなら覚悟がいるぞ、と伝えたかった。
あとアシエ様にあの莫迦真面目の恋人を見せたかったんだ」
最後は笑いながらそう言うメレオさん。
それよりも、どうして私とフエゴレオン様が結婚だなんて……。
「あの、ずっと疑問に思っていたんです。どうして私とフエゴレオン様がお付き合いしてるって思ったんですか？ 結婚の話も唐突ですし……」
「……」
また一口ラム酒を口に含んで、「……盗み聞きした」とメレオさんには珍しく小さい声で呟いた。
ぬ、盗み聞きって……。
ジトっとメレオさんを見れば「なんだ」と言うので「盗み聞きなんていけませんよ」と言えば「……行儀が悪いことは承知でやっている」と開き直ってしまったので笑ってしまった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あわわ(プロフ) - 頃音様、いつもありがとうございます！長々と申し訳ないですがまだまだ続きそうです。できる限りの１日１話更新ペースで頑張っていきたいです。頃音様もお身体にお気を付けて！これからもよろしくお願いします！ (2019年11月2日 18時) (
レス) id: 7a4853944d (このIDを非表示/違反報告)
頃音(プロフ) - リアルでもお忙しいかと思いますがこちょう様のペースで出来上がっていく物語を陰ながら応援しております！最近は大分寒くなってきたようですので、お身体を崩される事もあります。お気をつけ下さい。 (2019年11月2日 7時) (レス) id: 2fb5f4f14e (このIDを非表示/違反報告)
頃音(プロフ) - 続編おめでとう御座います。前回のコメント返信でヤミさんとの関係の清算が第三章くらいで今はまだ第一章と読んでホッとしました。お話を拝読している時は終わりが近いのかと勝手に思っていたので今後も続くと知って楽しみが増していきます。→ (2019年11月2日 7時) (レス) id: 2fb5f4f14e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こちょう | 作成日時：2019年11月1日 21時
