3 ページ22
出入り口の扉から入ってきた男はエントランスのど真ん中で立ちすくんでいる。
ただそれだけなのに、神経がざわついて仕方なかった。勘のようなものが働いたのかもしれない。
男はその場から動かず待合室を
その時の目が血走っており、何かブツブツと呟いていて異常さをさらに感じた私は立ち上がりゆっくりとその男に近づいた。
「どうかされましたか？」と男から少し距離を置いた位置から当たり障りのないことを聞くと男がこちらを見据えてきた。
近づいてわかったが、この男は例の暴行事件の目撃者だった。
「あの女が目覚めたんだろ？」
あの女、とは意識を取り戻した被害者のことだろう。
情報が早すぎる。まだ魔法騎士団の一部の人間と病院棟の関係者しか彼女が目覚めたことは知らないはず。
それに、マルクスの調べでは目撃者は被害者とは面識がないと証言していたはずなのになぜ被害者の事をこんなにも気にしているのか？
私が沈黙している間も男はぶつぶつと小言を言っている。
「あの女は、どこにいる？」
「……医師が診ているのでまだ面会はできません」
「…………」
下にうつむきまたぶつぶつと言っている。
様子がおかしいし、怪しい。
彼はただの目撃者ではなく事件に大きく関わっているのではないか？
私の背後は待合室や受付があり人が多い。正気とは思えないこの男を早くこの場から遠ざけてこの場の安全を図りたい。
だがそれとは裏腹に男は肩をぶるぶると震わせて「あの女を早く出せ！！」と怒鳴ったためこの場にいる者達がこちらを注視し人々の会話が途絶えシンと音が失くなった。
まずい。
すでに男は興奮状態。何をしでかすかわからない。
「とりあえず落ち着きましょう」
「うるさい！
あの女！ 分け前を全部横取りしようとしたんだ！！」
そう腹から怒りをぶちまけるように叫ぶといきなり魔道書を取り出したため私も魔道書を開き守備魔法を展開する。
ドオォォォン･･･！
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あわわ(プロフ) - 長丁場になりそうですが、今後も存分ににやけていただければ幸いです！コメントとても励みになりました！ありがとうございました！！ (2019年10月30日 9時) (
レス) id: 7a4853944d (このIDを非表示/違反報告)
あわわ(プロフ) - 頃音様ご感想ありがとうございます。私はブラクロのキャラが好きで彼らが何を感じて思って行動するのかを考えながら描写するのを大切にしているので、頃音様にそう言っていただき嬉しいです。ヤミとの関係の清算は第３章くらいになりそう(ちなみに現在第１章)なので→ (2019年10月30日 9時) (レス) id: 7a4853944d (このIDを非表示/違反報告)
頃音(プロフ) - どうなるのかと思いましたがやはり元恋人に対しての罪悪感が夢主さんにあるんだと伝わってきました。ヤミ団長の心情はまだ判りませんが少なくとも夢主さんの事を大切に思ってるのでは？と勝手に憶測してしまいますがこの先の展開が楽しみです。連投で申し訳ありません。 (2019年10月29日 21時) (レス) id: 2fb5f4f14e (このIDを非表示/違反報告)
頃音(プロフ) - 二度目のコメント失礼します。前回は指摘のみできちんとコメントしていなかったのでちゃんと伝えたくて参りました。現在進んでいる物語の内容で夢主さんの気持ちやフエゴレオン団長の気持ちがはっきりとしてきて読む度ににやけてしまいます。ヤミ団長が出てきた時は→ (2019年10月29日 21時) (レス) id: 2fb5f4f14e (このIDを非表示/違反報告)
あわわ(プロフ) - 頃音さん» 頃音様初めまして。ご指摘いただきとても助かりました！ありがとうございます！ (2019年9月24日 8時) (レス) id: 7a4853944d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こちょう | 作成日時：2019年9月16日 16時
