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「あー ..」
机に突っ伏して唸る。
「つぶれた？」
「いや、大丈夫っす」
全然大丈夫じゃない。
もう、
目瞑ったら寝ちゃう ..。
ばやしさんは立ち上がって
お会計をしてきてくれた。
「.. ご馳走様です」
「はいはい」
二人分の荷物を抱えて、
しゃがみ私に背中を向ける。
「悪いです」
「どうせ歩けないでしょ」
「うー ..」
「もう慣れたし、ほら」
慣れさせてしまうほど
同じ状況に何回もなっている。
だから余計申し訳ないのだ。
.. 毎回そう思っても
結局私はまともに歩けなくて。
「すいません、」
ばやしさんの首に手を回す。
荷物を持たない方の手で、
私を支えて立ち上がった。
からだがふわっと浮く。
いつも目にする大きな背中は、
乗ってみても
やっぱり大きくて頼もしい。
「この道まっすぐ行って、突き当りを」
「右でしょ、知ってる」
「.. さすがっすね」
徒歩で通えることを条件に
探したバイト先は
希望通り私の住むアパートから
五分もかからない場所に見つけた。
でもこうして送ってもらう度に、
タクシーで帰るしかないくらい
遠くに家があったらなぁ、って。
そしたらこんな風に
五分間も私をおぶって歩かせるような
迷惑をかけずに済んだのに。
そう思ってしまう。
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作者名：淡埜 | 作成日時：2019年5月11日 0時
