09.籠 ページ9
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「どうしたん？」
お昼休み、お弁当の中に入っているパスタを器用にフォークにくるくると巻き付けながら、黒目がちの瞳でじっと見つめてくる。
私の親友、彼女は、橘知夏。
「え」と誤魔化そうとしたけれど、
試すような目に、口篭る。
ボーッとしていたのを指摘されたようだ。
「なんのこと？」
「今日ずっとボケっとしてんで？昨日なんかあったん？」
何の気なしに確信をついてくるから、言葉に詰まってしまう。
思い出されることはひとつ。
おかげで朝から息苦しくて仕方なかった。
「いや、べつ、」
「あやしいわ〜」
「ほんまやって」
えーと少しだけあやしんで、
興味が無いのか「それよりさ」とすぐに話題を変える。
「夏祭りどうする？望に誘われたやつ」
「え？」
「あ、噂をすれば。」
もう既にふふ、と笑った知夏の視線を辿れば、
教室の入口でキョロキョロした後、
隅でお弁当を食べる私達を見つけて望が駆け寄ってきた。
密かに後ろに誰も連れてないことを確認してホッとする。
「なあ、夏休みすぐの夏祭り行くやろ？」
「何時ものメンバー？」
何時ものメンバーというのは、
気がつけば何時もよく一緒にいる、クラスを跨いで仲のいい、
ここにいる私達と流星と大毅、そして大毅の親友の神山智洋、通称神ちゃんの６人のこと。
「うん、でも。しげはおらんで？彼女と回るやろし」
「なあ？」と私に同調を求めてきた望に
知らないけどな、って思いながら「そうやね」と適当に返す。
幼馴染の私は知ってて当たり前ってことかな、
あの日から、幼馴染が窮屈で仕方ないお思ってしまう。
もう流石に、この胸の痛みは覚えたけど、
覚えただけでなかなか慣れてくれない。
むしろ、痛みは消えないままで重ねてくようなそんな感じ。
「まあ、私等二人は行くよ」
「えっ」
当たり前のように知夏が望に向けた返事に、
無意識にこぼれた声に、二人とも同時に私を見た。
「えー行かへんの？」という望に、言葉が詰まる。
だって、そこに大毅はいなくて、
なんなら、その時はきっと、いや確実に彼女であるあの子と過ごしてるっていうのに。
何時も大毅と過ごしていたこの夏祭りを、
大毅がいないのに私は楽しめるのか、
大毅がいない空間を楽しいと思えるのか、
なんて、考えた答えはひとつで、
惨めになるのを恐れた我儘な感情は、拒否を示し出して、
壊しちゃいけないと思いつつ、その空気を読むことが出来なくなる。
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Hama(プロフ) - 凜憧さん» コメントありがとうございます！まずは代表して私が返信させて頂きます。私も含め全員綺麗な表現にこだわりつつ切なさ重視で書いてると思うので、その言葉がとっても嬉しいです！是非最後まで応援してもらえると嬉しいです、よろしくお願いします。 (2018年2月2日 23時) (
レス) id: 140c01c743 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - コメント失礼致します。切なさを表すような表現工夫が個人的にとても好みな為、凄く続きが気になります。皆様の作品、全て見させていただきました。どれも面白くて大好きになりました！更新頑張って下さいね (2018年2月2日 19時) (レス) id: ba266bdcdc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みなららやん x他2人 | 作成日時：2018年2月1日 21時
