永遠 (ページ5)

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1989年、後に最強と謳われる呪術師が誕生した。それと同時に呪術界の均衡が崩れた。

　その10年後である1999年。
　五条悟によって崩れた世界のバランスを正すかのように、鳴神Aが生まれた。

　彼女もまた世界を脅かすような力を持っているのにも関わらず、誰にも注目されることなくひっそりと生まれた。

　長期の任務帰り。
　特級一体と一級一体という高専生に任せるような重さではない任務を終えたばかりの私は疲れ切っていた。

　底なしの呪力を持っていたとしてもだいぶきつい。
　ああ、今すぐ寝たい。休みたい。

　任務終了を補助監督さんに連絡しようと思い、スマホを手に取った瞬間。

　ブー、ブー、ブー＿＿

　ナイスタイミング、とでもいうようにスマホが振動して音を立てる。

　ディスプレイには五条悟という文字が浮かんでいた。
一瞬顔をしかめたがすぐに直し、応答ボタンを押して耳に当てた。

「はい」

「お疲れサマンサー！」

　年相応ではないハイテンションな声。
　改めて聞くと少々不気味である。

「何の用？悟」

「いやー、任務終わりに悪いねぇ。Aに一つ頼みたいことがあって」

　絶対悪いと思っていない。

「Aに新しく入った一年を任せたい」

「どうして？悟や真希たちでいいじゃない」

「いや、真希たちには少し荷が重いし僕も任務があるから付きっきりで見てあげられないんだよねー」

　あれ、この長期任務、悟のなんだけどな……。

「その一年っていうのが両面宿儺の器でね」

　両面宿儺。
　その言葉に私は目を開いた。

「わかった、やる」

　電話越しにクックックと笑い声がする。

「高専に着いたら僕に連絡ちょーだい」

　そう言い残して電話は切れた。
　スマホを耳から放し、ふうと息をついた。

　スマホをポケットにしまうと、桔梗の髪飾りを右手で撫でる。
　そして、小さくつぶやいた。

「雷神様、宿儺が現れましたよ」