永遠 (ページ20)

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ああ、ほんとにたくさんのことがあったなあ。

　コーヒーをゆっくりと口に流しつつ、物思いに耽っていると、カタンとテーブルにお皿を置く音がする。

　音の発信源に目を向けると、若い男性のウェイターが立っていた。
　そういえば、次期マスターにするなんて言っていたっけ。

「お待たせしました。プレートとクリームパンケーキになります」

「パンケーキは頼んでいませんよ？」

「いえ、僕が作ったものでして。まだまだ修行中なんですが、よろしければ召し上がってください。サービスというか、味見というか」

「ふふ、ありがとうございます。いただきますね」

　温かいうちにと、パンケーキを口に運ぶ。

　あの時とは少し違うやわらかさ。少々硬い生地に液らしい緩いクリーム。
　まだマスターほどの美味しさはないが、これでも十分おいしいパンケーキと言えるだろう。マスターが別格すぎるだけだ。

　彼は味見と言ったけど、私を気遣って作ってくれたのかな。

　自然と笑みがこぼれた。

「ごちそうさまでした。美味しかったです」

「またお時間ありましたらぜひ」

「ええ。パンケーキもありがとう」

　カランカランとベルの音が鳴ると同時に、ドアが揺れる。

　外に出ると眩しい日差しが私を照り付けた。
　7月とは思えないほどの暑さだ。

「あ、そうだ」

　もうすぐ交流会が始まる。
　恵や真希たちに稽古つけないと。