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後ろから私と五条悟を呼ぶ声がしたけど、彼はそんなのお構いなしにどんどん走っていく。
気が付けば屋敷を出て町の方にいた。
「あの、どこ行くの……ですか?」
しどろもどろになりながら訪ねても返事が来ない。
「帰らないといけません。私はともかく、主役の五条様がいないと__」
一生懸命に言葉をつなぐ私だったが、五条悟にさえぎられた。
「お前さ、それやめたら?」
「ぇ、それ?」
「言葉遣いや態度だよ。お前4歳とか5歳とかだろ? そんなガキんちょが丁寧にごあいさつとか気持ちわりいっつーの」
「でも私は鳴神家の当主だし、きちんとしないと」
「なんでお前なんだよ、親は?」
「三年くらい前に死んだわ、父も母も」
そう言うと、五条悟は走っていた足を止める。私は反動で彼の背中にぶつかった。
「あの侍女のやつは?」
「千弦のこと? 千弦は私の一番の理解者ですよ。鍛練の合間に水を運んできてくれるし、悪いことをしてお部屋に閉じ込められてるときもご飯を持ってくれるもの」
「あー、もういい。お前んとこの事情はよく分かった」
五条悟は頭を抱えた。
「鳴神に500年ぶりに五体満足の相伝が現れたっつーからどんなのかと思ってみたら、だいぶやべーな」
そう小さく呟く。
「学校は?」
「がっこう……?」
「は!? 学校すら知らねーのかよ」
「今日、外に初めて出たので」
「まじかよ」
五条悟は少し考える素振りをする。
「じゃあ俺がいいところに連れてってやる」
ニヤリと笑った五条悟を見たこの瞬間を、私は一生忘れないだろう。
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作者名:あわ | 作成日時:2023年12月3日 20時