後輩くんの食事事情。

（８話 ページ8

ちら、と物陰からAが覗いた。
「あれ、どしたの」

すると、部屋をキョロキョロ見回して、
「あれ、いないんだ」

「あぁ、お酒買い足しに行ったよ」
「あはは・・・」
苦笑いを浮かべながら、隣に座った。

「あ”ー同期に嫌われたかもぉー・・・」
机に突っ伏しながらぼそっと言う。
「それでやけ酒かぁ」

聞こえてたんだ。
静かだもんな。

「うん」そういってまた酒を煽る。

「ん”ー、苦い」
そしたらにこっとわらって、
「私はあんまり飲めないからな、ぁ」

Aの声が途切れる。
彼女の顔がぽっと赤くなる。

「え・・・？」
戸惑ったような、照れたような、困った表情。

そこで理解した。
頬にキスしてしまったんだ。

「・・・っあ、ごめん、ごめんね」
釣られるように顔が赤くなる。
「い、いや」

ちょっと真面目な顔をして、ひとつ。
「ごめんね、ひとつ、言っておきたいことがあるんだ」

後悔はしたくない。
だからといって、兄さんに勝てる気なんてしない。

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