好きだった人と、好きな人。【そらちぃ・エイジ】

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エ「それオレンジ味？」


「・・・うん」


エ「一口ちょうだい」



「、え」


なんで私、と
隣のそらを見ると
いつの間にか目をつぶっている。



左手に持たれたジュースはグレープ味で
あぁ、
オレンジ飲んでいるのは私だけか・・


「・・・どうぞ」


断る理由もないから
さっとジュースを差し出す


エ「ありがと」


信号が赤になって
車を一時停止させたえいちゃんは
口につかないように随分上から
ジュースを飲んでいた。



はい、と返されて
缶を受け取る



「、わ」





缶はすっかり軽くなっていて
きっと残りはあと一口くらいしかない

「・・・・ねぇ」


ちらりとえいちゃんの方を見ると
ルームミラーに映る彼の顔は
楽しそうに笑っている


エ「ごちそうさま」


「飲みすぎだよ、ひどい」


エ「え？俺の一口はそのくらいなんだよ」


「どんだけ飲むの、一口で 笑」


エ「あげるから これ」



はいはい、とグレープのジュースが
差し出される



「いいよ、別に」



エ「グレープよく飲んでたじゃんお前
はやく、腕つる」



ほれほれという言うように
揺れる腕からグレープジュースを受け取った



飲まないよ、飲むなら
そらからもらうもん。




私に飲まれることなく
ぎゅっと両手で握りしめられた
グレープの缶は
あっという間に人肌に温まってしまう

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