好きだった人と、好きな人。【そらちぃ・エイジ】

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そ「あそこの車だから、1人乗ってるけど
先行ってて」


「わかった」



自販機でジュースを買っている
そらに返事をして



指をさされた赤い車に近づく



ガチャ


「初めまして、Aです」



後部座席のドアを開けて運転席に
座っている人に声をかける。

ちゃんと挨拶はしないとね。





「あぁ、初めまして」

振り返ったその人を見て、



ドクンと心臓が音を立てた。




「・・・・・・・えいちゃん？」





エ「あれ、A？」



ハンドルに片手をかけたまま
こっちを向いたその人は


髪の毛が真っ赤に染まっていて
驚くほど大人びていたけど


間違えなく、えいちゃんだった。




エ「そらの彼女のAって
Aだったの？笑」




笑うときに
口の両脇に出るそのシワも


切れ長の目も


口元に手を持っていく癖も


全部、あの頃と同じ。


「・・・なんで、？」


なんで、いるの？
いつの間にか どこかに行ってしまったのに


もう会うことはないと思っていたのに。



ダメだよ


今更 現れないでよ。


もう忘れたって思ってたけど


ばくばくと心臓が
激しく動いている。



エ「なんでって何 笑
すごい偶然だねこれ」




えいちゃんが笑うたびに
息がつまる感じがして



ぎゅっと心臓のあたりを握った。

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