5日間の物語（アバンティーズエイジ）

8 ページ9

.





________

ジリリリリ



『うわあ！！！』




遠くから聞こえる蝉の声、いや、目覚ましの音で飛び起きる。



久々の寝坊だ。



慌てて飛び起きつつ、ベッドを軽く整え、階段を駆け降りる。



洗面所で歯を磨き、顔を洗い、髪をとかし、制服に着替える。



暑い。汗がたらりと額を落ちていく。




『やっば、いってきます！！』




家族が優雅に朝食をとる中、私は玄関を飛び出した。






夏の生ぬるい風がワイシャツと私の間をくぐり抜けていく。



夏だ、夏が来たぞ、と言わんばかりの汗。



まだ7時半なのに、太陽がカンカンに地面を照りつける。


夏休みまで、あと１日。







昨日、あれからたくさん考えた。



そらのおかげで、自分の気持ちもう一回見直すことができた。


今日ちゃんと、お礼を言うんだ。親しき仲にも礼儀あり、だ。


昨日より100倍気持ちが軽くなってる。自分で自分を縛り付けてた。


なのに、誰かのせいにしてた気がする。






赤信号で止まる。


止まると余計に汗が出て来て、急に走る気が無くなった。




隣の高校の高校生がたくさんいた。


私の家からはその高校の方が近いから、きっと時間帯的にもその高校の生徒が多いんだろう。



『みっくんりっくんいるかな〜』



なんて、たくさんいる高校生をちらりと見ていた。



そんな簡単に見つかるはずもなく、私は前を向いてまた歩き出した。

？「あの、さーせん。」


てか歩いている場合じゃない。私遅刻しそうなの忘れてた！やばい！




再び自慢の足で走り始めた。


気のせいなのか、後ろからも慌ただしい足音が聞こえる。





？「えっ、あの！させん」







ダダダダダ_____


？「さっせん！！あの！！」


『えっ』



私！？と振り返るとそこには隣の高校の制服を着た男の人が息を切らしていた。



？「あのっ、、これ、落とした、、、でしょ。」




その人の手には、私が昨日みっくんからもらったバイトのチラシがあった。



まさかさっき聞こえた足音って、この人の足音？




『やば、ごめんなさい！！私、気づかず走っちゃった。』


？「いや、いいんす。じゃ。」




その男子高校生はスクバをリュックのように背負い直し、パタパタと小走りで戻っていった。



こんな暑い中ごめんなさい。



ズーンと罪悪感が肩に落ちる。







いやいや、だからこんなことで止まってる場合じゃないんだってば。


少し遠くに見える学校に向かって、また走り出す。





.

9→←7

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す