色付き彩られ -avntis- (ページ5)

今日:8 hit、昨日:1 hit、合計:8,807 hit

５ tr.side ページ5

.

俺らが振り向くのと、彼女が顔をあげるのはほぼ同時だった。

「____________あの、なんて呼べばいいかな」

ああそうか、さっきも＂厚生委員の＂っていう認識だったっけ。

これから先そうやって呼ぶわけにいかない、なんていう彼女なりの気遣いだろうか。

『うーん、いきなり名前で呼ぶのはちょっと抵抗あるよね～』

私は大丈夫だけど...と言ってくれる秋山さん。

『じゃあ＂ツリメ＂で！』

「了解、ツリメくんよろしくね」

わ～～～＂ツリメくん＂だって！！！

それより、さっきから隣の奴の視線がいたい。

別に俺だけ仲良くしようってわけじゃないんだけど...何かできることないかな？

珍しく行動に移そうと考えた俺はそらを指して、

『こいつ、友達なんだけど_______________ 』

真っ直ぐに秋山さんをみつめる。
視界の隅に驚いた顔をしたそらがいるのに、笑いを堪えて話を続ける。

『_____________そらって呼んでやってよ、』

いいやつだから、と加えると、笑顔で頷く秋山さん。きゅんきゅん。

「よろしくね、そらくん」

「...うん、よろしく」

...照れてない？そら照れてない？？

きっと今、爽やかな笑顔の裏でどうしようもないくらい焦っているのだろう。

「ツリメ、教室いこ」

『お、うん』

彼は逃げるように階段をのぼる前に振り返って、
何か思い出したのか、秋山さんに声をかけた。

「_______秋山さんのこと、なんて呼べばいい？」

そらが、声をかけた。しれっと秋山さんって言ってるし。

微笑ましいなぁ、と思って見守っていると、少し考えてから秋山さんが話す。

「下の名前の_________＂A＂でお願いします」

「わかった、よろしくね、Aちゃん」

軽く感動していたら...............
パンを買ったそらに置いてかれた。

嬉しそうな表情をした、彼に追いつくと、
ありがとう、と一言もらってから

「お前、ピーナッツみたいな頭じゃなかったんだな」

褒めてないけど、と後に付け足したのは照れ隠しだってわかってる。

『ピーナッツってなんだよ、いちごとかがいい』

自分で言ったけど意味がわからなくて、ふたりして笑う。

階段を上りきると______________

「よ、どしたのふたりして、なんか良いことあった？」

_____赤髪が見えた。

.