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『…年齢とか関係なくおばあさん辛そうにしてるじゃない。貴方がわざわざ立って席を譲らなくても隣にあるカバン退かすだけでおばあさんは座れると思うのだけれど』
「これはまたビューティフルガールがいたものだ。どうやら今日の私は思いのほか女性運があるらしい。」
『あなたの女性運には興味無いわ。話をそらさないで』
「では聞くが、私以外の一般席に座ってる者はどうだ?優先席かそうでないかなど些細な問題だと思うのだがねぇ。」
その言葉に先程まで興味津々にこちらを見ていた一般席に座っている人達は気まずそうに目を逸らし先程の女の子は困ったように黙ってしまった。
『…確かにあなたの言う通りね。
でもあなたの隣に置いてあるカバンを退かすだけで、おばあさんは座れるし誰も立たなくて済むわ。
それくらいいいじゃない。それともあなたは、自分の鞄を膝の上に置けないほど軟弱なのかしら?』
ついムキになってそう言うと男の子は鏡を見るのをやめてこちらを見た。
「やはり君は''あの噂''よりもずっと美しい心の持ち主のようだね。しかしこの席は譲れないねぇビューティフルガール。だが、君が座ると言うならこの鞄を退かしてあげてもいいだろう。」
「いいよ、私は大丈夫だからね。ありがとぉ」
顔を顰める私をみておばあさんが遠慮がちにいった。
しかし辛そうなおばあさんを放ってはおけない。
かといって私にみんなに呼び掛けをする勇気があるかどうか聞かれたら…そんなものはない。
今この男の子に声をかけただけでも勇気を出した方だ。
それにこれは完全に私情だけれど、ここで目立つ訳にはいかない。
どうしたものかと戸惑っていると先程の女の子が口を開いた。
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みき - 更新嬉しいです! (1月15日 18時) (レス) id: c7f0ee6997 (このIDを非表示/違反報告)
おたく(プロフ) - めちゃくちゃおもろいです!更新楽しみにしてます(^-^) (2023年4月1日 16時) (レス) @page42 id: 2be13f9ec9 (このIDを非表示/違反報告)
かりん - とても面白かったです。次回の話も楽しみにしています。 (2023年2月1日 16時) (レス) @page40 id: 34308661a8 (このIDを非表示/違反報告)
チヒロ(プロフ) - 超絶面白いです。まじありがとうございます。更新頑張ってください!! (2023年1月29日 11時) (レス) @page40 id: d9d34f6376 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - 面白かったです。更新を頑張ってください!続きを楽しみにしています。 (2022年12月18日 9時) (レス) @page27 id: 2c1bfd1fb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほかほかごはん | 作成日時:2022年10月17日 2時